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オフィスマーケット

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ソニー株式会社 厚木テクノロジーセンター105号館

2 新製品の「要」になる半導体の開発拠点としてクリエイティブな発想を生むオフィスへの工夫

根岸直樹氏

ソニーファシリティマネジメント株式会社

根岸直樹氏

厚木事業部
オフィス工事部 統括部長

村山智樹氏

ソニーファシリティマネジメント株式会社

村山智樹氏

厚木事業部
オフィス工事部オフィス管理課
ワークプレイス係 統括係長

三浦恵美子氏

ソニーファシリティマネジメント株式会社

三浦恵美子氏

厚木事業部
オフィス工事部オフィス管理課
ワークプレイス係

夏目亜矢氏

ソニーファシリティマネジメント株式会社

夏目亜矢氏

厚木事業部
オフィス工事部オフィス管理課
ワークプレイス係

プロジェクト概要

神奈川県厚木市にあるソニー株式会社厚木テクノロジーセンターは、あらゆるエレクトロニクス製品の性能を大きく左右する半導体の開発部門が集結するなど、同社にとって最も重要な技術拠点の一つとされている。このため、エンジニアたちがクリエイティブな活動をしやすいような「オフィス環境」の整備が進められてきた。敷地中央に大きく広がる芝生敷きの「セントラルパーク」、景観を考えて高さを揃えた建物、多様な飲食施設やリラックススペースなど、全体の印象は事業所というよりも大学のキャンパスに近い。そして3年前の再開発プランで生まれた105号館は、その後の新本社建設プロジェクトの原型をつくったともいわれる画期的なオフィスビルとして、今も高い評価を受けている。

名称:厚木テクノロジーセンター105号館
延床面積:約54,000m² / 階数:地上7階 / 用途:研究・開発施設、クリーンルーム(半導体研究・開発施設) / 設計・施工:(株)大林組、東洋熱工業(株)、(株)関電工、東芝ELV(株) / 竣工:2006年6月 / 収容人数:約3,000人

最新オフィス事例研究 はやわかりメモ

■綿密なコンセプトワーク

ソニーの技術開発拠点の一つである厚木テクノロジーセンターに半導体開発部門のための新ビルを建設するにあたり、ソニーファシリティマネジメントでは「開発コンセプト」「ワークプレイスコンセプト」「フロアゾーニングコンセプト」などを明確にすることで経営計画とブレないオフィスが実現。

■発想を生むキャンパス構想

中央に広がるセントラルパーク、自由に飲食のできるガーデンカフェなどで事業所をキャンパス化。105号館にもナショナルブランドのコンビニとカフェが営業している。また建物の高さを揃え景観にも配慮。これらによるコミュニケーションやリフレッシュ効果に期待。

■建物の「縦」を通すキャンパスハブ

105号館は半導体の開発拠点だが、縦に移動できるコア部分に全社員用の共有スペースを設けることで「ふれあい」を演出。ライブラリー、コミュニケーションスペース、公園など階ごとに特色あるデザインを採用。

■内装工事を不必要にしたフロアゾーニング

中央にサービスユニットを集中させたことで他のスペースの自由度を増すことに成功。ワークエリアとラボラトリー&ミーティングエリアの比率を変えたり、新たに工夫されたデスクシステムの導入で組織変更などに伴う内装工事を不要に。

■開発のスピードアップを「オフィス」で実現

105号館建設の最大の目的は開発のスピードアップ。この課題の実現のため、オフィスの横にクリーンルームを設けた。

クリエイティブなオフィス環境に向けてさまざまな試みが採用された厚木の105号館

  『オフィスマーケット』では昨年の3月号においてソニー株式会社の新本社オフィス「Sony City」を紹介した。ファシリティマネジメントの分野でも常に先進的な取り組みを続けてきたソニーだけに、効率的なゾーニングや組織変更による再構築のコストを最小限に抑えたユニバーサルデザイン、フロアごとの縦の移動をしやすくしたローカルコアなどの新しい試みは、その後のオフィスづくりに大きな影響を与えたといっても過言ではない。

  そして今回、採りあげる厚木テクノロジーセンターの105号館も、本社につながる「ソニーのオフィスデザイン」を方向づけたプロジェクトとして注目を集めたものの一つだ。あらゆる製品技術のコアとなる半導体の開発拠点として2006年6月に竣工した7階建てのオフィスビルは、知的生産性を高めるワークプレイスのお手本ともいえるさまざまな「機能」を実現している。

「厚木の事業所は、ソニーが大きな成長を遂げる1960年代初頭に、品川区や仙台市に続く生産拠点として設立されました。その後、業務用映像機器や半導体などの開発部門を集結させることになり、テクノロジーセンター
としての位置づけが強くなったのです。それによりクリエイティブな業務をしやすいような職場環境の整備が続けられてきました。最も新しい105号館はその集大成ともいえる建物で、私たちにとっても、新しいオフィススタイルを提示できたと自負しています」

  こう語るのは、再開発プロジェクトのリーダーを務めたソニーファシリティマネジメント株式会社の根岸直樹氏だ。そして実務面で中心的な役割を果たしたのは、村山智樹氏、三浦恵美子氏、夏目亜矢氏などの若いメンバーたちである。

「105号館の建設にあたっては、基本となる開発コンセプトだけでなく、オフィスのスタイルを定めたワークプレイスコンセプト、具体的な設計につながるフロアゾーニングコンセプトと、部分ごとに方向性を明確にしてきました。そういう作業を経てきたことで、当初の計画とブレないオフィスが実現できたのです」(村山氏)

  それでは、それぞれのコンセプトにもとづき、この先進オフィスビルがどうやってできあがっていったのか解説していこう。

事業所を一つのキャンパスに見立て新たなビルの概要を決める開発コンセプト

  105号館の建設プロジェクトがスタートするにあたり、ソニーファシリティマネジメントのチームが最初に行ったのは、全体の概要を決める開発コンセプトの検討だ。

「厚木テクノロジーセンターは単なる事業所ではなく、新しい発想を生むキャンパスだと位置づけられています。したがって、その全体構想にふさわしい建物にすることが第一条件でした」(根岸氏)

  キャンパスであることを象徴しているのが敷地の中央にあるセントラルパークだ。名前の通り、芝生で覆われた公園のような広いスペースが設けられ、そこを囲むように各建物が並んでいる。

「セントラルパークは、建物と建物をつないで効率的に移動するための通路であるとともに、自由にくつろげるリフレッシュの場でもあるのです。このため、その一部にガーデンカフェを設け、『イタリアントマト』と『モスバーガー』が朝8時から夜8時まで営業しています」(三浦氏)

  雨天時などを考え、すべての建物は連絡通路で結ばれているが、飲食施設のマグネット効果もあって、ほとんどの社員はセントラルパークを通って移動している。それにより、偶発的なコミュニケーションが期待できる。

「セントラルパークを横切る途中で知りあいに会うのは、よくあることです。閉鎖的なオフィスの中と違って話もしやすく、コミュニケーション効果は大きいのではないでしょうか」(夏目氏)

  建設される105号館にも、当然、キャンパスの一部としての機能が求められた。

「入居するのは半導体とデバイスの開発部門ですが、同時に厚木の全社員にとって利用価値のある施設を共有部分に併設することにしたのです。検討の結果、1階に『ファミリーマート』と『スターバックス』をオープン
しました」(村山氏)

  このようなナショナルブランドとのパートナーシップは、利便性や快適性の向上につながり、社員の評判は非常にいいという。

「コンビニエンスストアを入れたのは大成功でした。一般的な事業所内の売店とは品揃えが違いますし、ファミリーマートさんの提案によりイートインコーナーを設けたことで、営業中の朝7時から夜11時まではいつでも食事がとれます。利用率は非常に高く、まさに優良店舗なんじゃないですか」(根岸氏)

  また、キャンパスを構成する建物として、景観にも配慮している。

「厚木ではすべての建物を7階建ての低層のものに統一しています。このため、セントラルパークに立つと広い青空が見え、これが気持ちいいんですね」(根岸氏)

  開発コンセプトでは、建築や運営面でのパフォーマンスに関する目標も規定された。

「イニシャル、ランニングともにコストパフォーマンスの高い設計・施工であることや、施工段階から地球環境に配慮した省エネルギー性の高い建物・設備とすること、将来の変化に柔軟に対応できる建物・設備とするなどは絶対的な条件でした」(根岸氏)

  105号館ではあえて地下部分を設けず、仮設から内装工事までをわずか10ヵ月で終えている。

「工期が1ヵ月長くなれば、それに伴うコスト負担も利益損失も大きい。工事に関しては多くのノウハウを蓄積してきたことで、奇跡的ともいえるスピードアップを可能にしたと思っています」(根岸氏)

 

105号館 外観

 

セントラルパーク。一部に「イタリアントマト」と「モスバーガー」が営業している。

ワークプレイスコンセプトから生まれた「ふれあい」のためのキャンパスハブ


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