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オフィスマーケット

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株式会社レーサム(霞が関コモンゲート)

3 「成長のステップ」に応じた経営戦略があるようにオフィスのスタイルも変えていかなければならない

田中 剛氏

株式会社レーサム

田中 剛氏

代表取締役社長

飯塚達也氏

株式会社レーサム

飯塚達也氏

常務取締役
事業企画ユニット長

小町 剛氏

株式会社レーサム

小町 剛氏

常務取締役
経営企画ユニット長 兼 社長室長

伊澤成人氏

株式会社CWファシリティソリューション

伊澤成人氏

代表取締役社長

綱川藤男氏

株式会社CWファシリティソリューション

綱川藤男氏

チーフコンサルタント

プロジェクト概要

不動産による資産運用事業、証券化事業、プロパティマネジメント事業などで急成長を遂げてきた株式会社レーサム(旧社名:株式会社レーサムリサーチ)は、2008年1月、西新宿から霞が関への本社移転を行った。地下鉄虎ノ門駅に直結する霞が関コモンゲート西館の35階と36階に新しく生まれたオフィスは、全社員が利用する「オフィスゲート」をセンターに置き、そこから左右に広がる執務エリア、多様なコラボレーションコーナー、くつろげるバーラウンジと、さまざまな新機能を盛り込んでいる。それまであまり意識しなかった「オフィスの効果」に着目したのは、新しい経営ビジョンを社内外に強く示し、移転を景気にした業務変革を進めるためだったという。

最新オフィス事例研究 はやわかりメモ

■設立から第一の成長期は高いコスト意識を

事業が軌道に乗るまでは無駄なコストは極力減らすのが経営の基本。この段階ではオフィスへの投資も控えてきた。

■第二の成長期への変革はオフィスから

業務変革を推進するにはオフィス移転によって環境を変えるのは効果的。そのときには中途半端に予算を制限するよりも、思い切った投資で社内外に改革の意志をアピールすることが重要だ。

■デスクの収納をなくせばスペース効率は高まる

フリーアドレスでなくても私物は個人ロッカーに入れることにすればデスクのサイズを小さくできる。また「奥行き」の広いビルはレイアウトの自由度が高まり、結果としてスペースの有効利用が可能。

■共有部のマグネット効果を最大限に活かす

エントランスに全社員が利用する施設を集中させ、マグネット効果を高める。さらにそこに幹部席を設けることで、組織横断的なコミュニケーションを促進することもできる。

■機能的なスペースを分散させて社内の移動を促進

コラボレーション、集中作業、リフレッシュなどの「機能」を明確にしたコーナーをゾーニングに合わせて分散させることで社員の移動機会が増え、コミュニケーションの活性化につながる。ただしそのためには、各コーナーを「利用したい」と思わせる魅力的なものにしなければならない。

■社外の人も利用できるラウンジで情報交換を

新しいビジネスのチャンスは外部の人からもたらされる。魅力あるバーラウンジなどを設置すれば、情報は自然に集まってくる。

■社内負担なしのドリンクサービス

飲料メーカーが設置し、供給や清掃、管理などのオペレーションをすべて行ってくれるサービスがある。リフレッシュコーナーの機能と魅力の向上に効果が期待できる。

「コストはかけない」方針の会社が大胆なオフィス改革を進めた理由

  オフィスの内装などについて多少なりとも知識を持った人であれば、株式会社レーサムの新本社を目にしたとたん、素直に驚くはずだ。社員が座る椅子は最高級のグレードのものだし、執務スペースのところどころに配置されているコラボレーションコーナーの家具もほとんどがオリジナル仕様だ。さらに本格的なラウンジが併設されているほか、パブリックゾーンのミーティングルームや応接室に至っては、従来の日本企業では考えられないほどの落ち着きと風合いが感じられる。

  しかし、これらの設備を紹介するにあたり、代表取締役社長である田中剛氏は、きっぱりこう言い切った。

「オフィスに無駄な金はかけないというのが私のポリシーです。その考え方は、今でもまったく変わっていません」

  そう考える田中氏が、なぜ、今回のオフィス改革を進めたのか。それを知るには、この会社の歴史から語っていかなければならない。

  株式会社レーサムは非常に個性的な不動産会社として知られている。扱っているのは住居、オフィス、商業ビル、複合および開発案件とさまざまだが、共通しているのは、直接投資により資産価値を高める「再生」に力を入れているところだ。そして長期的な収益性を見極めたうえで商品として組成し、投資家に提供していく。その独自の技術やノウハウは、海外の機関投資家からの注目を集めているほどだ。

「結果だけをみれば収益性の高いビジネスを続けているように思われるのですが、不動産の資産価値を高めていくのは簡単ではありません。ときには他の不動産会社が敬遠するような案件に対しても、こつこつと手を入れることで再生していきます。つまり、手間のかかる作業を地道に続けてきたからこそ、これまでの成長があったのです」(田中氏)

  そんなまじめな経営方針を貫いてきただけに、オフィスに対しても「最低限のスペースさえあればいい」という考え方でいたという。「1992年に5人のメンバーで設立したときには場所があるだけでありがたかったし、数年後に社員数が40人弱になったときにも小さなビルの50坪くらいのオフィスで我慢してきました。とにかく無駄なコストを省き、贅沢をしないというのが私たちのポリシーだったのです」(田中氏)

  その後、事業拡大とともに社員は増え、1998年には新宿住友ビルに本社を移転する。増床を重ね、最終的には約700坪にまで拡張するが、それもあくまで必要に迫られての対策に過ぎなかった。

「そのころから私たちの不動産再生力が評価され、海外の投資家などが訪れてくるようになったのです。しかしスペースの関係で、ゆっくり話をする場所もない。さすがに、もう少しいいオフィスが必要だと思い始めました」(田中氏)

  加えて、不動産の証券化による運用商品の開発や組成といった新しい事業の成長もあり、会社は創業15周年を迎えて新たなステップに進もうとしていた。

「レーサムが変わるということを社内外に強く示すには、オフィスを新しくするのがいちばんです。つまり今回の投資は、決して無駄ではないと考えるようになりました」(田中氏)

オフィスから意識改革を進めるには中途半端な妥協をしてはいけない

  2007年に入り、レーサムでは本格的に本社オフィスの移転プロジェクトがスタートする。このとき、田中氏は自らに言い聞かせるように大英断を下した。

「オフィスを刷新することで会社を変えていこうと決めたからには、コストに対する持論は封印しようと決めたのです。中途半端に『予算が・・・』などと言ってしまっては、せっかくの変革のチャンスを失ってしまいますからね。したがって、プロジェクトが進んでいる間は、私からはお金のことにはいっさい口出ししていません」

  そして新しいオフィスの設計内容についても、社長としてではなく社員の一人として意見するのに留めたという。代わって実務を担当したのが、常務取締役の小町剛氏飯塚達也氏だった。

「私自身も、地道で一生懸命というレーサムの文化は残しつつ、次々と新しいサービスを展開していける情報に敏感な会社にしていくべきだとの考えがあったので、オフィス改革には賛成でした。ただ、経営課題はいくつかあったものの、それをどうやって具体的なオフィスの形にしていけば解決できるのかわからない。このため、スペシャリストである株式会社CWファシリティソリューションにパートナーになっていただいたのです」(小町氏)

「西新宿の本社は、いわゆる島型対向デスク配置の『普通のオフィス』だったため、コミュニケーションスペースを多用した大胆な提案を受けたときには驚きました。しかし、移転を契機に業務を変革したいという思いは経営陣に共通したものだったので、オフィスのスタイルがまったく変わることに抵抗はなかったのです」(飯塚氏)

スペースを大幅に拡張しなくてもゆとりを持ったレイアウトは可能だ


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