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オフィスマーケット

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株式会社レーサム(霞が関コモンゲート)

3 「成長のステップ」に応じた経営戦略があるようにオフィスのスタイルも変えていかなければならない

各フロアーの詳細拡大写真

スペースを大幅に拡張しなくてもゆとりを持ったレイアウトは可能だ

  それでは、2008年1月にオープンしたレーサムの新本社オフィスについて見ていこう。

  入居した霞が関コモンゲート西館は地上38階建で、1フロアは2015.81m²(609坪)、賃貸部分は35階と36階の合計1.5フロア分だ。

「移転前は約700坪でしたから、全体としては3割ほど増えていますが、36階をミーティングルームと応接室のあるパブリックゾーンとしたので、執務スペースは35階全フロアと、それほど拡張しているわけではありません。それでも広くなったと感じてもらえるのは、このビルが使いやすい設計になっているからです」(CWファシリティソリューション・伊澤成人氏)

  多くのオフィスを手掛けてきた伊澤氏がビルを評価するとき、大きなポイントと考 えているのが窓からコア部分までの「奥行き」だという。

  「最近ではオフィス内にさまざまな機能のあるスペースを配置し、社員が自由に動けるようなレイアウトを採用するケースが多くなっています。レーサムさんの場合も、社員間、部門間のコミュニケーションを活性化させたいという目的から、そのようなオフィスを希望されていました。そうなると奥行きに20メートルはほしい。幸い、このビルはその条件を満たしていたため、全体にゆったりしたレイアウトを実現できたのです」(伊澤氏)

  さらにスペースを有効活用するため、ゾーニングの段階からさまざまな工夫をしている。担当したのはCWファシリティソリューションの綱川藤男氏だ。

「最大の特色は、入り口を中央部の1ヵ所とし、そこに個人ロッカーを置いて『オフィスゲート』としたことです。今回、フリーアドレスは導入を見送り固定席としましたが、私物はすべてこのロッカーに保管し、自席には収納を設けませんでした。実はそれが、全体の面積をあまり増やさずにゆったり感を実現するノウハウなのです」

  導入したデスクは120度の角度を持つ変形L字形のもので、3人単位で「島」をつくっていけるためレイアウトの自由度は高い。そして通常1200mmのサイズであるのに対し、綱川氏は10cm短い特注品を用意した。

「この10センチが大きな効果を生みます。島ひとつで通路分くらいのスペースは確保できますからね。もちろんデスク周りの収納をなくすためには全社的なペーパーレス化も同時に進めなければなりません。今回のプロジェクトでは社内システムを含めた全面的な改革が行われたからそれが可能だったわけで、移転を契機に本気で働き方を変えようという経営者の強い意志が画期的なオフィスを生んだ最大の力といえるでしょう」(綱川氏)

オフィスゲートのマグネット効果を活かし会社の動きに「気づく」仕掛けを導入

  ところで、今回、新オフィスを設計するにあたり、コンセプトとして掲げられたのは次の3点だった。

  • 不動産事業の構造変化への対応
  • 部門間/社員同士のコミュニケーションの活性化
  • 全社員への「気づき」のための空間創り

  これらは具現化するために、最も重要な場所と位置づけられたのが、先ほどあげたオフィスゲートである。

「ここには個人ロッカーがあるだけでなく、庶務などのサービスを行うオフィスコンシェルジュのデスクや、ライブラリー、打ち合わせコーナーなどが集中していることから、全社員が頻繁に行き来します。このマグネット効果を最大限に活かすために、これまでのオフィスでは考えられないような“仕掛け”を導入しました」(綱川氏)

  それは、会社の中枢部門をオフィスゲート周辺に集めてしまうという大胆なゾーニングプランだった。

「オフィスゲートの周囲にはオープンな雰囲気の社長室があるだけでなく、すべての事業部門のリーダーの席を並べることにしました。つまり、一般的なオフィスのように上司と部下でワンセットと考えず、全社単位で幹部とメンバーの居場所を分けたのです。その結果、部門間のコミュニケーションが活発になるだけでなく、社員たちは自分が担当していない仕事の動きについても、知らず知らずのうちに『気づく』ことになります」(綱川氏)

  このレイアウトについては、社長である田中氏も「期待以上の効果があった」と絶賛している。

「役員の会議もオフィスゲート横のオープンなスペースで行いますから、社員たちは会社が、今、何をしようとしているか、すぐにわかるのです。また、経営の透明性をアピールする意味でも、誰もが見える場所で幹部が情報交換をする意味は大きいのではないでしょうか」(田中氏)

  一つだけ懸念されたのは、「部門のリーダーとメンバーの席が離れてしまうこと。意志の疎通が不充分になるのでは……」という点だったが、実際にはその問題はほとんどなかったという。

「上司と部下は必要なときだけ情報を伝えれば、四六時中一緒にいる必要はないのです。それより、幹部の席は近いことで、経営のスピードは確実に速まったように感じますね」(小町氏)

「デスクスペースにもちょっとした打ち合わせのできるコラボレーションコーナー『Cholabo(チョラボ)』が何ヵ所も設けられているので、必要があればそこで共同作業もできます。以前の居場所が固定されたオフィスに比べれば、機能ごとのさまざまなスペースが用意されている今は、格段に仕事の効率が上がったと思います」(飯塚氏)

社外の人の利用も期待したバーラウンジリフレッシュに向かう動線も交流に貢献

  レーサムの新オフィスで、もう一つ、画期的な施設が広々としたラウンジだ。夜景を含めた眺望が楽しめる大きな窓、高級感あふれる調度品、明るいスモーキングコーナー、専任のバーテンがいるカウンターなど、一般客向けに営業してもおかしくないレベルになっている。実際、社員が打ち合わせやリフレッシュ目的に使うだけでなく、今後は社外の人にも積極的に利用してもらう計画だという。

「これからの企業は、社内で情報を回しあうだけでなく、外部の人をどんどん招いて交流を深めていくべきだと思います。その結果、有益な情報を得られれば、それをヒントに新しいサービスや事業を展開できるかもしれない。そう考えると、ラウンジを設けて運営するのも、充分、経営に見合ったコストになるはずです」(飯塚氏)

  さらにレーサムの場合は、魅力あるラウンジを設けることで、新オフィスのコンセプトでもある「部門間/社員同士のコミュニケーションの活性化」の効果をいっそう高めようとしている。

「全体のゾーニングを考えていくとき、ラウンジはオフィスゲートから最も離れた、オフィスの端に設けるしかありませんでした。しかしこれを逆手にとれば、ラウンジを最高に居心地のいい空間にすることで社員の移動機会を増やすことができる。組織横断的なコミュニケーションを活発にするには非常に効果的なはずです」(綱川氏)

  今回、新設されたオフィスを通していえるのは、このような明確な目的と機能を持った施設が、それぞれ効果的な場所に配置されているということだ。オフィスゲート、ラウンジ、コラボレーションコーナー、集中作業コーナーなどを上手に分散させ、社員たちができるだけ社内を移動するように工夫されている。そしてそれは、この会社が次に目指す方向性と完全に合致しているのである。

「レーサムではこれまで、各社員が高い目標を持ち、自分なりに仕事を管理することで成長を遂げてきました。しかし次のステップとしては、社員間、部門間のより強固な連携が課題になります。新しいオフィスはゾーニングの工夫によって、それを可能にする環境を実現したのです」(小町氏)

  オフィスは単なる箱ではなく、経営に役立つ機能を備えた装置でなければならない。それはCWファシリティソリューションがずっと主張してきたことであり、レーサムの新オフィスは、まさにその実践の場だった。

「このオフィスは、まさに機能の塊です。それが実現できたのは経営の方向が明確だったからで、私たちにとっても理想のワークプレイスをつくれたという喜びを感じることができましたね」(伊澤氏)

  その思いは、レーサム側も同じだ。

「私自身、みんなと一緒になって新しいオフィスをつくっていく作業は楽しかったですね。環境が良くなったことで社員たちの顔つきは明らかに変わった。それだけでも、充分に効果はあったと思っています」(田中氏)

手間がかからずいつもドリンクが楽しめる新スタイルのリフレッシュメントコーナー 小林篤儀氏

小林篤儀氏

東京コカ・コーラボトリング株式会社
開発本部
常務執行役員

  株式会社レーサムの新本社オフィスで導入した新しい試みの一つに、CWファシリティソリューションと東京コカ・コーラボトリングのコラボレーションによる新しいスタイルのリフレッシュコーナーがある。

  システムとしては、ホットドリンクやアイスドリンクの自動サーバーや自販機、ペットボトル飲料などを常備した冷蔵庫、浄水器、排水トレーといった設備一式を東京コカ・コーラボトリングが設置し、補給や清掃などのオペレーションも行う。このため、利用者側は飲んだ分だけを支払えば、他には一切コストや手間もなく、常に清潔な環境で飲みものを楽しめるのだ。

「通常のコーヒーサーバーだと、社内の誰かがセットや清掃をしなければなりませんし、コーヒーが煮詰まってしまうため頻繁な管理も必要です。しかし私たちの設置するカフェコーナー『フラビア』は1杯ごとに抽出しますので、いつもフレッシュさを保てます」

  ちなみに、コーヒー1杯あたりのコストは、1日に延べ70人ほどの利用があれば、大体100円程度だという。

「フラビアはコーヒーだけでなく紅茶や緑茶など豊富なドリンクに対応していますし、カップ自販機の『カフェマティック』や簡単な操作で抽出できるエスプレッソマシンも併設すれば、もっとメニューを増やすことができます。またスナック菓子などのフード類も供給可能なので、私たちに任せていただくだけで、充実したリフレッシュコーナーが実現できるのです」

  オフィス内に入ってオペレーションサービスを行うことから、東京コカ・コーラボトリングでは、社員スタッフを固定担当とし、セキュリティ上の問題が生じないようにしている。

「おいしいドリンクが楽しめるだけで、人々はそこに集まり、自然にコミュニケーションが生まれます。私たちのサービスがそのお手伝いになれば、こんなうれしいことはないですね」

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