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周辺のエリア内で単価の安い場所に 移転する――オフィスが供給過多傾向にあり、賃料が割安となっている場所が見つかりやすいと判断したT社。思い切ったリ・オフィスを断行して賃料の大幅コストダウンを成功させた。工業用の素材メーカーであるT社は、2003年に移転するまでは一等地にある築3 0年のビルにオフィスを構えていた。 当時のオフィスは広さ350坪。ここに管理部門と営業部門の社員計100名を収容していた。
当時のオフィスは、ふたつの理由でコストの問題を抱えていた。ひとつは賃料が坪単価4万2000円と高かったこと。もうひとつは築年数がたっているために空調の効率が悪く、毎月50万円にのぼる光熱費を払わねばならなかったことだ。他にも、旧耐震設計基準時代のビルであること、配線設備の使い勝手があまりよくないなど、ビルの老朽化に伴ういくつかの問題にも頭を悩ませていた。
そこで、2002年初頭に移転先探しが始まった。
候補となる物件の条件は4つ。千代田区内であること、最寄り駅に複数の路線が乗り入れていること、250坪以上のスペースであること、新耐震設計基準を満たしたビルであること。
これらの条件を満たしながらも賃料を抑えられる場所として候補に残ったのが、飯田橋駅前の築15年のビル。フロア面積は260坪で、坪単価は2万6000円。1カ月あたりの賃料(共益費を除く)で単純計算すると、1470万円から676万円へと、約4割のコストダウンが可能となる。
新しいオフィスは、床下配線が敷設済みであること、ビル自体が2 4時間入退室可能なこと、セキュリティが完備されていることなど、使い勝手で多くのメリットがあった。
入居中のビルよりも新しいため、耐震性能も良い。面積が90坪も狭くなるという課題はあったが、レイアウトの効率化でクリアできると判断し、入居に踏み切った。
入居から1年後、T社がオフィスのコストを計算したところ、年間で約1億円の削減ができていることが判明した。坪単価も面積も下がったことで賃料が抑えられただけでなく、ビルが新しくなったことでオフィスの熱効率がよくなり、以前のオフィスと比べて光熱費をかなり安くできたのである。
年間売上高が約50億円、経常利益が数億円というT社は数年前から様々な経費削減に取り組んでいた。しかしその効果はせいぜい年間数百万円ほど。そうした中でリ・オフィスによる年間1億円の削減は移転コストを差し引いても、多大な利益をもたらすことになる。T社はオフィス移転で経営が好転したのは言うまでもない。
分散されていたオフィスを統合したことで賃料を抑えられたA社の事例はこうだ。以前は都心部内の3カ所にオフィスが分散していた。当時の賃料は坪単価でそれぞれ3万1000円、2万円、1万6000円。3つのオフィスの面積は合計で約400坪。賃料は月に計1000万円近くになっていた。
2003年にA社は、3つあったオフィスを神田にあるビルに統合した。その結果、デッドスペースが減らせたこと、利用状況を見直したレイアウトとしたことによって、オフィスの面積を70坪少ない330坪に抑えることができた。新オフィスの賃料の坪単価は1万8000円。賃料だけでも月に約400万円、年間では5000万円近い経費削減につなげることができたのだ。
その面積削減のアイデアのひとつは貸し会議室の利用。A社は移転前、毎月開かれる70〜80人規模の定例会議のために約30坪の会議室を設けていた。だが移転後は、5坪の会議室をふたつ設置するにとどめ、定例会議の際はビル付近の貸し会議室を1回5万円で借りることにした。会議スペースをこれまでの30坪から2部屋計10坪に減らしたことで、賃料にして20坪分(月36万円)から貸し会議室料金5万円を引いた31万円、年間で372万円の経費を削減。使用頻度の低い場所はその都度借りられるような賃貸プランを組むのも、経費削減につながる策だ。
オフィスのコスト削減を考えると、移転は3つの理由で有効な手立てと言える。理由のひとつは、坪単価が下げられること。オフィスの供給が多い現在は、移転チャンス。事例で取り上げたような飯田橋や神田など利便性の高い立地でも、割安な賃料で借りられる場合が多い。
T社のケース
Before
After
フロア面積:350坪
社員数:100名
賃 料:坪単価4万2000円
アクセス:駅から徒歩3分
床下配線:あり(リニューアルにより敷設)
フロア面積:260坪
社員数:100名
賃 料:坪単価2万6000円
アクセス:駅から徒歩5分
床下配線:あり
移転や統合によりフロア面積を抑えることも、コスト削減に大きく貢献する。狭いオフィスビルや古いオフィスビルでは、柱や通路によってデッドスペースが発生しがちだ。新しいビルであれば、柱を室内に出にくくするなどの設計上の配慮がなされ、坪数は少なくても効率よく使うことができるものが多い。A社のように分散していた機能を集約する移転パターンでは、オフィスを1フロアに統合することでそれぞれのオフィスにあった共有スペースを減らせる。これは、賃料だけでなく共益費を減らすことにも効果がある。また、機能を1フロアに集中することは、コピー機や棚といった什器・備品を減らすことにもつながる。
新しいビルへの移転は、オフィスのランニングコスト低減に大きく寄与する。例えば、セントラル空調であったのが個別制御できる空調となれば、少人数が残業しているときなどは部分的に空調すればよく、光熱費の節約ができる。それに、新しいビルほど壁の断熱性能が高いものが多いので、空調の効率は高い。そして、新しいビルはさらに、フリーアクセスフロアやケーブルといった情報化に対応する設備が整っており、設備投資を抑えられるのも利点だ。
■T社のケース
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