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総務部の「悩み」大研究

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ゼロから始めるファシリティマネジメント


現状のオフィスにおけるスペース効率の向上以外に施設運営費を削減する方法には、どんなものがあるのでしょうか?


 FM導入の初期の段階では、事業所の枠組みを変えずにスペース効率を高める方法が有効ですが、さらに大胆にコストダウンを図るには、オフィスの統合や再配置による事業所の最適化は避けては通れない道でしょう。
 このようなオフィスの借り換えは、コストの削減になるだけでなく、性能の高いビルに移転することで環境の著しい向上につながり、ワーカーの満足度もアップします。このため、同時にユニバーサルプランやフリーアドレスといった大胆なオフィス改革を行っても、不満が生じにくいというメリットもあります。
 一度、専門家に依頼して、移転シミュレーションを行ってみてはいかがでしょうか。
 なお、私の経験をもとに、オフィスワーカーに人気のあるビルの条件をまとめておきましたので、オフィスの再構築プランの参考にしてください。


●ワーカーに人気のあるオフィスビルの条件
・機能(通信や空調)や快適空間のレベルが高い。
・自動販売機コーナーがあり、いつでも飲みものなどが買える。
・低層部分にリーズナブルなカフェや商店がある。特にコンビニエンスストアは、 ビル内か、至近な場所にあることが絶対条件となる。
・ビル内、または近隣でちゃんとした昼食がとれる。
・トイレが清潔で、洗浄便器(ウォシュレットなど)や洗浄音発生装置(乙姫など) があるとさらによい。また女性用に広い化粧スペースや着替えスペースも併設してあるビルは非常に人気が高い。
・リフレッシュコーナーがある。
・喫煙ルームが確保されている。
・個別空調で温度調整が可能。
・カードでセキュリティが行われ、24時間出入りができる。
 また、これは自社ビルの場合に限られますが、たとえばESCO(Energy Service Company)の利用などはかなり有効な手段でしょう。
 ESCO事業とは、ビルや工場の省エネルギーに関する包括的なサービスを提供することで、それまでの環境を損なうことなく省エネを実現し、そしてその結果得られる効果を保証するだけでなく、削減したコストの一部を料金とするため、支出は増大しません。しかも、契約期間終了後は、省エネ分のコストメリットがすべて顧客の利益になるのです。



これからのFMの課題の一つは社員の健康増進へのサービス強化

●注目されてきたヘルスキーパー
 オフィスづくりを進めるにあたって、これまでは「ワーカーが働くに十分な広さ」の確保と、それに続く「ワークプレイス環境の整備と向上」が主なテーマとなってきました。しかしこれらの課題を解決したあと、次に考えなければならないのは、何なのでしょうか?
 その一つとして大きくクローズアップされてきているのが、社員の健康管理です。本来、安全で快適なオフィスの実現とは、そこで働く人が気持ちよく仕事を行い、最大限の生産性をあげることが目的です。しかし、それを完全に実践するには、施設面だけでなく、ワーカーに対するサービスを充実させなければならないことは、日頃、多くの社員と接している総務部門の方であれば、肌で感じているのではないかと思います。
 それでは、社員の健康を増進するにはどんな方法があるのでしょうか。
 オフィスワーキングにおいてパソコンの多用があたりまえになり、さらに少数精鋭化やグローバル競争への対応によって、業務の内容は、年々、高度になっています。これに伴い、ワーカーの肉体面や精神面へのストレスも増大し続けています。
 そこで、ひとつの解決方法として一部の先進企業で採用されてきたのが、ヘルスキーパー制度の導入です。ヘルスキーパーとは、マッサージ治療や健康相談などに応じて、ワーカーの心身の問題解決に適切な対応とアドバイスをする専門家を示します。
 大手の会社の場合、事業所内に医務室を常設したり、定期的に医師が訪問することで社員の健康管理を行っていますが、この方法はかなりのコストがかかりますし、またワーカー側から見ても、「病気になったら利用する」という最終的な健康管理サービスでしかありません。これに対して、ヘルスキーパーは遙かに少ないコストで常駐または訪問してもらえますから、中小規模の企業でも導入は可能でしょう。そして社員にとっても、医務室よりずっと気軽に利用できますし、ストレス疾患になる前に健康の専門家に相談できれば、安心感が高まります。その結果、医療コストの軽減にもつながるはずです。
 東北大の調査によると、現代人の多くが肩こりや目の疲れに悩み、「病気ではない、でも健康ではない」という意識を持っているそうです。また別の専門機関の調査では、女性ワーカーの70%以上が仕事の疲れを癒すためにクイックマッサージを利用しているそうです。
 すでにアメリカでは、GE、ゴールドマンサックス、モトローラ、ボーイング、リーボックなど、フォーチュン500社中80社が産業マッサージを導入しているそうですが、このようなサービスの機能をもう少し拡大し、ヘルスキーパーとすることで、オフィスへの社員の満足度はかなり高まります。
 労政時報では、日本企業の福利厚生費について、住宅や文化・レクリエーションのコストは減少気味である一方、医療・保険費は増える傾向にあると報告しています。さらに自社の直営保養所や職場旅行は縮小または廃止され、健康管理関連の充実を経営の課題とあげる企業も増えてきました。
 ファシリティマネジャーはオフィスという施設を管理しているだけではありません。社員の労働環境全体を向上させるのが役目として期待されているのですから、先進性を発揮するためには、このような新しいサービスの導入を提案していくのも、大切なのではないでしょうか。




■ヘルスキーパーの治療のフローチャート
予診表
事前に配布し、属人要素(年齢・既往症)や症状、予約日などを記録してもらう。

問診
健康相談を受け、必要に応じて、マッサージや足の温浴療法などを行いながらの問診。
リラックス効果を高める。


カルテ作成
診察所見カードをつくり、継続的な健康管理に活用する。

治療
個別の治療プランに従い実施(インフオームドコンセント)。

生活指導
運動計画、ストレッチの方法などを指導。

測定
継続的に治療効果などを測定し、サービスの強化に努める。

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