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総務部の「悩み」大研究

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施設分散の弊害の悩み


今のオフィスについて、ワーカーの多くが不満を持っているため、思い切ってリニューアルを行おうと思うのですが、まず、どのような調査や検討から始めればいいですか?


 オフィス戦略を立案し、実行するファシリティマネジメントは、リニューアルや移転といったプロジェクトのときに大きな効力を発揮しますが、重要なのは、「そのためには日常的な努力が欠かせない」ということなのです。つまり、常日頃から自分の会社のオフィスについて、どんな設備があり、どのように利用され、ユーザー(ワーカー)がどんな評価をしているのかといった「現状」を把握しておかなければ、いくら予算をつぎ込んでリニューアルを進めても、本当に使いやすい環境にはつながりません。
 ところが残念なことに、多くの企業において、この作業がおざなりになっています。オフィスの担当者でありながら、日常的なファシリティの管理にまで手が回らないのです。
 ファシリティマネジメントが十分に行われていない企業では、オフィスの環境は非常に低いレベルに留まっています。たとえば無計画なレイアウト変更によって通路が狭くなりワーカーの動線を妨げてしまったり、空調の効きにバラつきがあったり、床の上にLANや電話の配線が剥き出しになっていたりと、いかにも「使いにくいオフィス」になっているのです。したがってリニューアルを進めるには、まずこのような現況を調査し、自ら採点することから始める必要があるでしょう。
 オフィスのファシリティのレベルを総合的に評価する手法としては、2002年3月号でも紹介した社団法人ニューオフィス推進協議会(NOPA)の「ニューオフィスミニマム」を参考にするのがもっとも簡単です。執務スペースからリフレッシュメント、省エネルギーまで22の分野にわたって設けられているチェック項目は、働きやすいオフィスを実現するために「少なくともこの程度は満たすことが望ましい」として策定されたもので、客観的な判断基準になります。
 ここでは、調査表を再掲載しておきますので、5段階評価で「オフィスの現状」をチェックしたうえで、問題点を改善するためのリニューアル計画の立案をしてみてください。


ファシリティ現況評価


FMが徹底していないオフィスは
真綿で首を絞められるようなもの?

 オフィスをリニューアルしたり、移転したりすると、最初は新しい設備や家具に囲まれたすっきりしたレイアウトの中で気持ちよく仕事ができるものです。しかし、やがて業務上の都合や人員の増減などによって少しずつ使いづらくなっていきます。
 たとえばOA機器の導入などは、そのいい例でしょう。大量のパソコンがオフィスに入ってくると、そこから発せられる熱で空調の効きは悪くなるし、モニターへの照明の映り込みも問題になります。さらに器械を置くために各ワーカーが勝手に自分のワークスペースを広げることで、徐々に通路や共有部分が狭くなっていきます。
 もちろん、この段階で、ファシリティを管理する総務の担当者が計画的なマネジメントを続ければオフィス環境はいい状態で守られるのですが、なかなかそうはいきません。なぜなら、ワークスタイルの変化はゆっくり進んでいくため、どの段階で見直しをすればいいのか、きっかけがつかめないのです。その結果、気がついたときには、改善のしようがないほどオフィスが乱雑になってしまいます。
 先ほどの回答の中では「ニューオフィスミニマム」に基づく現況調査の方法も紹介しておきますので、ぜひ実行してみてください。
 やり方としては、次の項目毎に備品の種類とチェックし、フロアごとにいくつかリストアップしておきます。
 もしその結果、何種類ものサイズのデスクが「共存」していたりしたら、そのオフィスはまさにマネジメント不在の状態です。ぜひとも、計画的なFMを導入することをお勧めします。


■備品、什器リストの項目例
役員デスク
クリスタルトレーサー
(サイズごとに細かく分類)
コートハンガー
両袖デスク
(サイズごとに細かく分類)
用紙入れ
(サイズごとに細かく分類)
傘立て
(サイズごとに細かく分類)
片袖デスク
(サイズごとに細かく分類)
スチール棚
(サイズごとに細かく分類)
プラントボックス
(サイズごとに細かく分類)
平デスク(サイズごとに細かく分類)
書棚(サイズごとに細かく分類)
リサイクルボックス
脇机
金庫(サイズごとに細かく分類)
ダストボックス
ワゴン型脇机
会議テーブル
(サイズやタイプごとに細かく分類)
パソコン
(サイズやタイプごとに細かく分類)
役員用チェア
折り畳み会議テーブル
(サイズごとに細かく分類)
プリンター
(サイズやタイプごとに細かく分類)
事務用肘付チェア
喫煙テーブル
コピーマシン
事務用肘無チェア
ホワイトボード
シュレッダ
打ち合わせ用肘付チェア
テレビ台
テレビ
打ち合わせ用肘無チェア
応接室ソファー
(サイズごとに細かく分類)
冷蔵庫
折り畳みチェア
応接チェア
(サイズごとに細かく分類)
空気清浄器
中間収納
(サイズやタイプごとに細かく分類)
カウンター
(サイズごとに細かく分類)
PBX
壁面収納
(サイズやタイプごとに細かく分類)
パーティション
(サイズごとに細かく分類)
サーバ
ファイルキャビネット
(サイズやタイプごとに細かく分類)
マガジンラック
(サイズごとに細かく分類)
LANコントローラ

いつの間にか、オフィスが4カ所に分散してしまいました。統合を進めるには、どのような手順を踏む必要があるのでしょうか?


 「オフィスが分散してしまっていて、業務上の支障が生じている」
 多くの企業のオフィスづくりを手伝っていると、こんな声を総務の担当者から聞きます。一つのビルの中で多層階にわかれたオフィスでも不便さを感じることがあるのに、なぜ、「使いにくい」とわかる分室を増やしていってしまうのでしょうか?
 いわゆるバブルのころには都心部を中心に深刻なオフィス不足が問題になっていたため、人員増に対応した広いスペースを確保することができず、借り増し、借り増しの連続で執務室は分室化していく傾向にありました。しかし現在、オフィスビルの供給状況は安定しており、分散しているスペースを1カ所に統合することはそれほど困難ではありません。
 それでも分散オフィスの悩みが多くの企業で聞かれるのは、おそらく次のような理由があるからでしょう。
●本社の立地にこだわりすぎる
 企業というのはどうしても立地にこだわります。たとえば丸ノ内や銀座といったステータスのあるエリアに固執したり、中には「創業の地」から離れられないケースも少なくないようです。
 いくら多くのビルが供給されているといっても、限定されたエリアや一つの駅の徒歩圏内だけに決めてしまっては、条件にあったオフィスは簡単に見つけられません。その結果、「本社の近くのビルに分室を増やしていく」というその場しのぎの対策を重ねることで、オフィスはどんどん分散化していってしまうのです。
●ファシリティの管理が不十分である
 あとで詳しく説明するように、分散化オフィスはさまざまなデメリットを生じさせます。これはファシリティの有効活用という経営の重要課題を考えたときに大きな問題なのですが、継続してコスト管理をしていなければ、マイナス面がすぐには把握できません。このため、「環境よりスペース確保が優先」と、分室をどんどん増やしていってしまうのです。
 このような原因を整理していくと、ファシリティマネジメントを担う総務スタッフがしなければならない作業は自然に見えてきます。
1.ファシリティの現況評価……現状の把握
2.分散オフィスのデメリット試算……問題点の明確化
3.統合化シミュレーション……現況との比較と検討
4.経営トップへのプレゼンテーション……決済
5.オフィスのリニューアル……移転・統合・改修など
6.満足度調査と継続評価……中長期的なFM戦略へ

 まず現況を調査し、問題点を洗い出してから、移転による統合化の検討を始めます。そして大切なのは、それによって生まれた「使いやすい環境」を維持するために、その後も継続してファシリティの管理をすることなのです。


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