プロジェクト概要
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- モトローラ株式会社
伊藤 均氏 - ジャパン シェアード サービス
オフィスマネージメント部 シニアマネージャー
認定ファシリティマネージャー(CFMJ)
- モトローラ株式会社
世界的な通信機器メーカーであるMotorola,Inc.の日本法人「モトローラ株式会社」は、2007年10月、大崎駅前に新しく建設された ThinkPark Tower(品川区大崎2-1-1)の20階と21階に本社を移転した。事業内容や経営方針の転換により頻繁にオフィスの移動を繰り返すことの多い外資系企業の中にあって、モトローラはそれまで約20年間、港区南麻布のビルに本社を置き続けるなど、中長期的な視野に立ったオフィス戦略を貫いている。
今回のプロジェクトでも、「最先端の技術集団にふさわしいワークスペース」「ワールドクラスでありながらローカル社会と連携の重視」「人材とスペースの効率化と生産性の向上」といったグループのデザインコンセプトを確実に具現化し、将来にわたって競争力を発揮できる生産性の高いオフィスを目指した。

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- ゆったりした空間と交通の便の良さを両立
- 大崎西口再開発地区の第1号プロジェクトとして完成したThinkPark Towerは、先進的なデザインに加え、都心では考えられない広々とした多目的スペース(空地)、ゆったりとしたオープンデッキを持つ飲食店などが魅力。しかも山手線の駅に直結しており、交通の利便性では最高の評価を受けている。
- グローバル企業としてのオフィス戦略
- 米国本社を中心に統一した経営戦略を展開しているモトローラグループだけに、日本法人のオフィス移転に関しても承諾が必要。日本の不動産事情は特有のため説得には苦労したが、入居していたビルが建て替えられることになり、急遽、移転が決まる。
- ガイドラインによる世界基準のオフィスづくり
- 職場環境のレベルを維持するためモトローラでは詳細なオフィスづくりのガイドラインがある。基本的にはそれに従うものの、地域ごとの特性に合わせた最適化も必要で、そのために活躍するのがグループ各社のファシリティマネジャーの役目。
- フリーアドレスで失敗しない工夫
- Mobile Workerと呼ばれるフリーアドレスの対象者を20%以上にすることもガイドラインの規定。事前の離席率調査、各部門への人選の委託、モバイル席にインセンティブを与えることによる満足度の向上……といった工夫が改革を成功させる。
- 移転後はワーカーによる評価を
- 不満の声が少なければ新オフィスの構築はほぼ成功したと考えていい。オフィス環境だけでなく、通勤や食事についても調査が必要。
米国の本社とアジア地域本部の2つのFM部門を説得するところからプロジェクトは始まった
2007年10月にグランドオープンしたThinkPark Tower(シンクパークタワー)は、東京都の都市再生特別地区の第1号としてJR大崎駅西口前に誕生した複合施設だ。最大の特色はゆったりとした空間設計で、目の前に広がる多目的スペース「ThinkPark Arena」にはフットサル大会も開催できるスポーツ用コートが設けられている。そしてそこに面したカフェやレストランには広々としたオープンカフェが用意されており、風を感じながらくつろげる贅沢さは、都心のビルではまず考えられないだろう。
モトローラ株式会社が本社オフィスの移転先としてこのビルを選んだのも、JRの駅に直結した交通の便の良さと、ゆとりある空間の両方の魅力があったからだ。ファシリティマネジャーとして今回のプロジェクトを推進してきた伊藤均氏はこう言う。
「それまでは1988年に入居した南麻布のビルにずっと本社を置いていたため、空調や電気容量など設備の多くが現在の事業ニーズに対応できなくなってきていたのです。加えて交通の利便性の改善も考えていましたので、便利で快適なビルへの移転は検討課題の一つだったのです」
そんな思いもあって、数年前から新オフィス構築の提案をしてきたものの、なかなかゴーサインがでなかったのは、モトローラという会社の社風が影響している。
「モトローラは米国イリノイ州の本社を中心に強いまとまりを持っている企業グループです。このため、日本法人だけで独自のオフィス戦略を展開することはできず、すべて本社の承諾をえなければなりません」(伊藤氏)
もちろん、伊藤氏は何度も新しいオフィスの必要性を合理的に説明してきたが、大きな障害になったのが日本の不動産事情の特殊性だという。
「日本は建築費や賃料が他国に比べて高い水準にあり、グローバルなオフィス戦略がそのまま通用しません。しかし、それを伝えても、海外のファシリティマネジャーには簡単には理解してもらえない。とにかく、移転が決まるまでには、何度も何度も侃々諤々の論争を繰り返してきたのです」(伊藤氏)
またファシリティマネジメント部のアジア地域本部は中国にあるため、伊藤氏にとっては地域本部と米国本社の2つのFM部門を説得しなければならず、苦労の日々が続く。
そんな中、入居していた南麻布のビルが2008年以降に解体される計画が伝えられたことで、移転計画は一気に現実味を帯びていった。
「まさにチャンスでした。しかもタイミングよく、条件にぴったりのシンクパークタワーで入居者の募集があった。まさに今しかないという思いで、プロジェクトをスタートさせたのです」(伊藤氏)
モトローラの定めるデザインの世界基準と日本固有の働き方をミックスしたオフィスに
2006年中にはグループ本社の了承を得て具体的に動き出した新オフィス構築プロジェクトだが、ここでも「世界のモトローラ」としての多くの条件を守らなければならなかった。
「モトローラには『Motorola Design Concept』と呼ばれる基本理念があり、すべてのオフィスや施設はその方向性を目指すものでなければいけません」(伊藤氏)
それは次の4項目だ。
- Motorola Design Concept
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- 最先端で、技術に基づく組織
(Cutting-edge, Technology-driven organization) - 通信機業界でワールドクラスの組織
(World-class organization in communication industry) - 人材、スペースを理にかなって使い、効率かつ生産的な組織
(Efficient and productive organization that uses resources, space intelligently) - ローカル(地域)社会と連携した世界的企業組織
(Global company, but with connection to local community)
- 最先端で、技術に基づく組織
そしてこれらを基にオフィスづくりのガイドラインが定められている。
「第一は、Private Office やLab、Meeting Roomなどの間仕切りされた部屋はすべてビルのコア側へ配置しなければなりません。これは、窓際の明るいスペースは社員に使ってもらうべきだというモトローラの「個人の尊重」という基本理念に基づく方針ですが、実際にビル内のレイアウトをするときには、かなり厳しい制限になりますね」(伊藤氏)
ガイドラインへの遵守規定はかなり厳格で、以前にも役員室をフロアの角に増設しようと申請したところ、一切認められなかったという。
「個室であるPrivate Officeを与える条件も、VP(副社長)または同グレード以上のスタッフに限定されているなど、先進的な組織にふさわしい基準が設けられています。したがって、私たちファシリティマネジャーも、その方針を社内で展開していきました」(伊藤氏)
しかし伊藤氏は、すべての条件をガイドラインに委ねたわけではない。
「規定では、デスク周りであるワークステーションの大きさはワーカー1人につき3.42㎡となっていましたが、このサイズだと日本では広すぎ、スペース対コストのバランスが悪くなってしまいます。このため、2.24m2(1.6×1.4m)のワークステーションを独自に採用することにしました」(伊藤氏)
もちろん「本社」の決定内容を変更するだけに、説得力のある理由を提示しなければならない。
「ワーカーの職場環境を守るのもガイドラインの目的ですから、ワークステーションのサイズを縮小しても狭さを感じないように保管書類を従来の4分の1にし、収納場所を不要にするといった工夫を約束しました」(伊藤氏)
また、ワークステーションについてはガイドラインの高さ規定(パーテーション)「1.6m以下」を1.22mにしている。
「前のオフィスでは約1.6mあり、隣の人の顔も見えずに使い勝手が悪かったのです。それだけに、『日本では他のワーカーと常にコミュニケーションをとりあいながら仕事を進める習慣がある!』と強く主張し、特例を認めさせました。導入してみると、このほうが連絡や情報交換はしやすいし、小さいワークステーションでも狭さを感じにくくなります。海外のモトローラ社員にも評判はよく、いずれは世界的な新しいスタンダードになるかもしれません」(伊藤氏)


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