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株式会社リクルート 東京オフィス(グラントウキョウサウスタワー)

企業にはその文化に合ったワークプレースがあるはず
「リクルートらしさ」を発揮できるオフィスへの挑戦

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プロジェクト概要

  • 株式会社リクルート
    新井 正明氏
    総務部
    ネクストオフィスプロジェクト
    リーダー
  • 株式会社リクルート
    岡 理恵子氏
    総務部
    ネクストオフィスプロジェクト
  • 株式会社リクルート
    緒方 真樹子氏
    総務部
    ネクストオフィスプロジェクト
    リーダー
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社
    前田 啓介氏
    IMS FMサービス 第二FMサービス
    部長 一級建築士
    認定ファシリティマネジャー/
    コンストラクションマネジャー
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社
    本藤 淳治氏
    IMS FMサービス 第二FMサービス
    課長 一級建築士
    一級建築施工管理技士
    認定ファシリティマネジャー

株式会社リクルートは2008年1月、東京駅八重洲口前のグラントウキョウサウスタワー(千代田区丸の内1-9-2)に移転した。登記上の本店であるリクルートGINZA8ビル(中央区銀座8-4-17)は継続して使用していくものの、従業員や業務委託スタッフなど約6000人がここに勤務することになり、事実上の本社といえる。グラントウキョウサウスタワーの上層を占める23~41階の広いオフィスを設計するにあたり、基本コンセプトとなったのは「リクルートらしい働き方」の追求だ。委員会活動などを通して全従業員の意見や要望を吸い上げ、オフィスづくりのプロである日本アイ・ビー・エムの協力を得て完成したワークプレースは、企業文化を体現した個性的で使いやすいスペースとなっている。

先進オフィス事例研究 はやわかりメモ
コラボレーションの弊害となる分散オフィス
急激な事業拡大により都内だけでも11ヵ所に分散していたリクルートのオフィス。事業の枠を超えた新ビジネスを生むには大きなネックとなっており、移転および集約が課題だった。
現場からの声もオフィス移転のきっかけに
事業拡大も社内改革も現場の発案で始まるのがリクルート流。今回のオフィス移転&集約も現場からの要望の声が、会社を動かすきっかけに。
プロジェクトの方向を決めるコンセプト
従業員の要望がバラバラにならないように委員会活動では「リクルートらしい働き方とは何か?」という根源的な議論から始めた。企業文化に基づき「働くことを楽しむオフィス」「コミュニケーション」をキャッチフレーズにした。
ユニバーサルプランでも画一的にはしない
組織変更や人事異動に伴う手間とコストを削減するためにデスクを固定したユニバーサルプランを採用。しかしカラーデザインや、家具などにオリジナルの工夫を加えることで企業文化に合ったデザインを実現。
食堂から保育園まで充実したサービス施設
社内ダイニングなど飲食できる施設は5ヵ所あるほか、コンビニエンスストア、リフレッシュスペースなどに加え、保育園を併設して女性従業員に配慮。
コミュニケーションによって育まれる企業文化
集約によるコミュニケーションの活性化はビジネス上のメリットだけでなく、企業文化の醸成にもつながる。

事業の枠を超えた新ビジネスを生むオフィス統合。従業員からの要望が会社を動かすリクルート流

株式会社リクルートといえば、銀座8丁目の本社ビル(リクルートGINZA8ビル、通称「G8」)がシンボル的存在としてよく知られているが、相次ぐ事業拡大により、都内だけでも主要なオフィスは11ヵ所に分散していたという。
一連のオフィスづくりにおいて中心的な役割を果たした総務部ネクストオフィスプロジェクトの岡 理恵子氏は語る。

「人材、進学・スクール、住宅、ブライダル、旅行といった事業分野ごとにカンパニー制をとっており、これらが銀座、新橋、汐留、新宿などに点在している状態でした。急増するオフィス需要に対応するための移転とはいえ、せっかくオフィスを移転するのであれば現状の課題も解決し、リクルートらしい楽しいオフィスにしていこうということになりました」
「現状の課題」の一つが、社内での横のコミュニケーションに関することだ。
「リクルートはこれまで新しいビジネスを生み出し、新たなマーケットをつくってきました。新たなことを生み出す原動力は、社内外の活発なコミュニケーションにあると思います。拠点が分散したことで、失われつつあったコミュニケーションを改めて活性化することも今回の移転の大きな目的の一つでした」(緒方真樹子氏)

本格的に移転の動きが始まったのは2005年末だったという。翌年に入ってすぐ、建設中だったグラントウキョウサウスタワーへの入居が決まった。
ここで面白いのは、リクルートの場合、オフィスの移転に伴う要望が現場から発案され、会社を動かす力になっていったという点だろう。
「リクルートでは新規ビジネスを提案するのも、社内改革を推進していくのも、主役となるのはいつも現場の従業員なのです。新しいオフィスの仕様や、什器に関する細かい仕様も、大小さまざまな委員会活動を経て現場の意見を取り入れながら進められていったのです」(岡氏)

「このビルを選んだ最大の理由は交通の便がいいことです。銀座にも新橋にも近いG8はどこに行くにも便利な場所でした。それだけに、不便なオフィスへの移転では従業員の満足を得られません。すぐにお客様のところに行けて、かつ地方拠点の従業員もすぐに集まれるという、東京駅の目の前のビルで、しかも新築であればかなり自由にカスタマイズできる。条件としては最高だったのです」
グラントウキョウサウスタワーの1フロアの面積は約2,175(約658坪)だ。全館の約半分を占める19フロア分、約41,300もの広大なオフィスに6000人近くの従業員を移転させる。リクルートにとっても経験のない大規模なプロジェクトがスタートしたのである。

人を大事にし、働くことを楽しむ風土。そんな「文化」を反映したオフィスへ

今回のプロジェクトにおいて、オフィスのプランニングや設計のパートナーとなったのが日本アイ・ビー・エムだ。

「従業員が満足できるオフィスをつくるには専門家のノウハウが欠かせません。検討した結果、多くの経験があり、しかもさまざまな先進的なオフィスに挑戦してきたIBMにお願いすることにしたのです」(岡氏)

IBMからはベテランの前田啓介氏と本藤淳治氏が担当となり、2006年5月ごろから新オフィスのコンセプトなどを検討する作業を開始した。この段階で2人が驚いたのは、やはりリクルートという会社の独自の企業文化だったという。
「これまでのプロジェクトとは違うと感じたのです。そこで、具体的なプランニングに入る前にできるだけ多くの従業員たちと話し、リクルートの文化を理解しようと努めました」(前田氏)

最初は会う人ごとにさまざまな思いを聞かされ、戸惑いもあったそうだが、やがて前田氏たちは、彼らの思いのベースにある「リクルートらしさ」に気がついていく。
「リクルートはいかに良い提案を、より迅速に、お客様に届けられるかを重視し、そのために、従業員にとっての働きやすさを高める方向でオフィス移転を行おうとしている。それなら、彼らの働きやすい環境を最優先に考えていけばいいのです」(前田氏)

「企業文化は、その企業ごとに違うのですから、オフィスもそれに合わせてオーダーメイドで完成させていかなければなりません。リクルートの場合は、従業員たちが自ら考え、行動するところが最大の特色です。したがってその文化をもっと際だたせるために、働くことを楽しむ「ワークテイメント(Work+Entertainment)」というキャッチフレーズを提案しました。この言葉は、リクルートという会社の個性を最もうまく表現しているのではないでしょうか」(本藤氏)

コンセプトが明確になったことで、その後は従業員の理念や理想を確実に活かしたオフィス設計が可能になっていく。
「新しいオフィスに移るにあたり、私たちは『リクルートらしい働き方は何か?』というテーマをまじめに議論していました。多くの従業員からの意見や要望を集めても、方向性がバラバラにならなかったのは、コンセプトワークを細部まできちんと話し合ったからだと自負しています」(岡氏)