ホーム > オフィス情報ポータル > 先進オフィス事例 > MTV Networks Japan株式会社(本社オフィス)

MTV Networks Japan株式会社(本社オフィス)

「企業としてのブランドと働く人のプライドを共に高めていく個性的なオフィスへの挑戦

各フロアの詳細拡大写真

プロジェクト概要

  • MTV Networks Japan株式会社
    長谷川 晃二氏
    人事総務部
    シニアマネージャー
  • 株式会社CWファシリティソリューション
    伊澤 成人氏
    代表取締役社長
  • 株式会社CWファシリティソリューション
    綱川 藤男氏
    コンサルティング部
    チーフコンサルタント
  • 株式会社CWファシリティソリューション
    石森 卓氏
    ソリューション部
    ソリューションプランナー
  • 株式会社ミダス
    小澤 清彦氏
    取締役 設計グループ担当
    一級建築士 認定ファシリティマネージャー
  • 株式会社ミダス
    清水はるみ氏
    設計グループ
    チーフデザイナー インテリアプランナー

世界的コンテンツ企業、米国Viacomグループの日本法人であるMTV Networks Japan株式会社(MTVNJ)は、2008年1月、渋谷区神宮前に本社オフィスを移転した。新社屋は、もともとスポーツジムとして設計・使用されていた建物だけに、通常のオフィスビルとはかなり条件が異なるものだ。しかし、独自のブランド戦略を展開するMTV Networks Japanでは、「逆転の発想」で高い天井や変化のあるフロア構成といった建物の特性を活かす大胆なリニューアルを行い、個性的なワークスペースを創り出すのに成功、2008年の日経ニューオフィス推進賞に輝いている。

MTV Networks Japan本社の概要

所在地 〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-8-2
延床面積 3,834m2
階数 地上5階、地下2階
オフィスの利用形態 フルパッケージオフィスレントサービス
入居面積 約1300坪
入居者数 約200名
先進オフィス事例研究 はやわかりメモ
オフィスの統合で社員にプライドを
オフィスが分散していると、社内のコミュニケーションが阻害されるだけでなく、会社への帰属意識が薄れ、プライドの低下にもつながる。ブランディング戦略上もマイナスが多く、早急な対策が必要。
探しあてた「最高」のビル
スポーツジムだった建物はビルとしては規格外だが、個性的なオフィスを構築するにはかえって条件はいい。高い天井や断続的につな がるフロアなどを利用し、自由なデザインが可能。
個性的なフロアで社員を動かせ!
複数のフロアがあるオフィスの場合、階ごとにテーマを設け、それぞれ異なるデザインコンセプトで構成していくほうが、社内に回遊性が生まれ、コミュニケーションは活性化していく。また中間フロアにカフェや喫煙コーナーを設置することで、自然な出会いが演出でき、効果的。
動線は多様であるほどいい
効率的な空間利用が企業にとってベストとは限らない。多様な動線を確保し、さらに空間的な自由度を残しておくほうが、自然なコミ ュニケーションが生まれる。また社外の人などとの多様な交流を考えても、動線は限定しないほうがいい。
隠れ家や秘密基地のようなオフィス
非効率な遊びのある空間は、利用者にとって「楽しさ」にもつながる。オフィスを愛せれば、そこにプライドが生まれ、最終的にはブランディング効果が期待できる。ただし、そんな空間を活用するための工夫や仕掛けは必要。
プロジェクト継続のために調査を
オフィス構築は移転して終わりではない。その後の利用状況やユーザーの声を常に意識し、さらなる魅力を加えていくように努力したい。

現場からのブランディングには社員たちの高い意識が欠かせない

「MTV」といえば、音楽を中心とする総合エンターテイメントブランドとして世界中で通用するが、日本における事業会社であるMTV NetworksJapan株式会社のビジネスは、そこだけに留まってはいない。
「MTVを核に、総合キッズエンターテイメントチャンネルの「ニコロデオン」やデジタルメディア事業と、確実にビジネスの多様化を進めてきました。しかしその結果、オフィスが3ヵ所に分散してしまい、さまざまな問題が生じていたのです」(MTV Networks Japan・長谷川晃二氏)

第一の問題は、社内コミュニケーションの不足と業務効率の低下だ。
「六本木に2ヵ所、原宿に1ヵ所とオフィスが点在している状態では、全社的な会議で集まるだけでも半日仕事になってしまいます。このため事業部門ごとの壁は高く、放送とデジタルメディアの連動といった共同作業を行うには非常に不便な状況だったのです」(長谷川氏)

組織が分断され、日常的なコミュニケーションが阻害されると、そこで働く人々は「MTV Networksの社員」という意識を、ついつい忘れがちになってしまう。
「MTV Networks Japanのすべての事業のベースにある強いブランドは、世界中のグループ会社のメンバーたちがMTV Networksの社員であるこ とに高いプライドを持ち、質の高い仕事をしてきた結果として築かれたものです。ところが日本ではオフィスが分散していることで、現場からのブランディングが思うようにできませんでした。このため、ここで働くことへの誇りと強い仲間意識を持ってもらう職場にしたいと、かなり前から、移転先を探していたのです」(長谷川氏)

しかし、条件に合った建物には、なかなか出会えなかった。
「約200人を収容できるオフィスだけでなく、撮影用の大型スタジオが設置できるビルは、簡単には見つかりませんでした」(長谷川氏)

もちろん都心を離れれば選択肢は広がるが、MTV Networks Japanの場合、レコード会社や放送局、広告代理店などとの交流が重要であるため、立地条件はかなり限られる。
「特にレコード会社の人たちは本当に頻繁に訪れてくるので、足場のいい港区や渋谷区の一等地であることは絶対的な条件でした。現実問題として、そんな場所で希望に合ったビルが供給されることは少なく、半分、あきらめかけていたほどです」(長谷川氏)

そんなとき、まさに渡りに船という感じで紹介されたのが、現在、本社として使っているビルだったのである。

規格外のビルほど空間の自由度は高く個性的なオフィスを構築するには最適

渋谷区神宮前の通称キラー通り(外苑西通り)に面したビルは、もともと高級スポーツクラブとして設計され、使われていたものだ。テナントが退去した後に不動産会社の株式会社レーサムが取得し、再生の方法を検討していた。その一つとしてオフィスへの転用を考え、この分野で実績のあるCWファシリティソリューション(CWF)の伊澤成人氏に声をかけたのである。伊澤氏は初めてその話を聞いたときは到底無理だと思ったが、実際にビルを見に行って「やり方によっては面白いオフィスにすることは可能」と思ったという。

「プールやランニング用のトラック、スカッシュコートといったスポーツ施設に加えて、会員用のレストラン、VIPが出入りするための最上階への直通タワー型エレベーターなどがあるこの建物は、オフィスビルとしては完全に規格外です。しかも天井は高く内部構造は複雑で、スペース効率もいいとはいえない。普通だったら、オフィスユーザーには紹介できない物件でしょう」(伊澤氏)

それでも、これらの"悪"条件は、視点を変えればビルの魅力になる。
「簡単にいえば、効率性一辺倒ではなく、オフィスにおける創造性の刺激、空間の楽しさ、個性的なデザインなどを重視する企業にとっては、大胆なリニューアルができるのですから、むしろ最高の物件とも言えます。レーサムも私たちもそう考え、条件に合致する企業を何社か知っていたので、すぐに連絡を入れました。
MTV Networks Japanもそういう企業の1社だったのです」(伊澤氏)

それが2006年秋のことだった。MTVNJ側では最初に長谷川氏が、続いて当時の社長だったピーター・ブラード氏が自ら視察に訪れ、すぐに「入居したい」と伝えてくる。
「他にも興味を持った会社はいくつかありましたが、MTVNJが最も強く希望し、条件的にも最適だと思ったので、その後、優先して話を進めていきました」(伊澤氏)

そして2007年の半ばに、正式契約が結ばれる。事務的な手続きを担当したのは、CWファシリティソリューションの石森 卓氏だ。

「MTV Networks Japanは米国ViacomグループのMTV Networksの日本法人であることから、本国の了解を得るまでに半年近くかかりましたが、その期間は決して無駄にはなりませんでしたね。長谷川さんを含めた日本のメンバーは、このビルを、大変、気に入ってくださったので、何度もお目にかかって『こんなオフィスにしたい』と突っ込んだ話ができ、それが満足していただけるオフィスの構築につながったと思っています」(石森氏)

今回の契約では、大規模な改修工事を前提に、「フルパッケージオフィスレントサービス」を採用している。
「建築・設備、内装、家具などオフィスに必要な内容があらかじめセットされ、賃料に含まれるフルパッケージオフィスレントは、イニシャルコストの大幅削減とコスト負担の平準化、保有資産の極小化などにつながるため、私たちのような会社にとっては非常に有利だと思います。こういう形でFM的手法を採り入れることができたのも、プロジェクトを成功に導けた理由の一つだと思っています」(長谷川氏)