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コクヨグループ エコライブオフィス品川

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大きな「庭」を持つだけでなく 屋外でも仕事ができるオフィス

コクヨ品川オフィスの5階に構築されているエコライブオフィス品川に足を踏み入れて、最初に強い印象を受けるのは、大きなガラス窓の向こう側に広がる庭のような明るい空間だ。ルーフバルコニーの部分を利用した「ガーデン」の面積は約500㎡で、このフロアの約4分の1を占める。
「以前は普通のバルコニーとして使っていたスペースで、休憩や煙草を吸うのに活用される程度でした。しかし今回、CO2排出量の削減、ワーカーのエコ意識と知的生産性を高めていくワークスタイルの実現というコンセプトを考えたとき、この屋外空間の重要な価値に気づいたのです」(一色氏)

コクヨは早くから環境問題に真剣に取り組んできた企業の一つだ。環境配慮が充分でないと判断した自社製品に自ら「エコ×(バツ)」マークを表示するという先進的な試みは話題になったが、オフィスにおいても空調システムの見直しを続け、消費電力の削減を図ってきた。 「省エネ型の機器やシステムに取り替えるのは確かに効果的ですが、それだけでは限界があり、根本的な解決にはなりません。そこで、春と秋にはできるだけエアコンを使わないようなオフィスにすればいいと考えたのです」(一色氏)

それには窓開けによって外気を室内に導くのも有効だが、コクヨではもっとシンプルに考えた。
「せっかく広いバルコニーがあるのだから、ここで仕事もできるようにしてしまえばいい。そこから『ガーデン』と呼ぶ屋外型オフィスの開発が始まったのです」(一色氏)

屋外で働くという発想は、新しいワークスタイルやオフィスの潮流を紹介するワークプレイス戦略誌『CATALYZER(カタライザ)』(コクヨオフィス研究所発行)で編集長を務める齋藤敦子氏も、「最初に思っていた以上に快適だ」と絶賛する。
「開発の段階では、気分を変えてアイデアを出すのにいい空間だと思っていたのですが、実際に使用を始めてみると、『メールを書くのに落ち着ける』とか『雑談からいつの間にかブレストになっている』とか、いろいろな用途で思わぬ効果が確認できています。つまり、快適なだけではない、もっと大きな成果が期待できる、まったく新しいオフィス空間だったのです」(齋藤氏)

もちろん、ルーフバルコニーを「オフィス」として活用するには、さまざまな工夫を加えている。
「造りつけのベンチやテーブル、池を囲むカウンターなどを配し、所々に配した電源コンセントと無線LANによってパソコンが使えるようにしました。また大きなポイントとして、ガーデンに続くスタジオ(コミュニケーションエリア)との間の段差をなくし、キャスター付きのテーブルを移動できるようにしてあります。これにより、室内外のギャップを感じず、続きの空間として利用できるのです」(一色氏)

照明システムの大胆な見直しでも省エネと知的生産性に大きな効果が

 エコライブオフィス品川において、空調システムの見直しと並んでCO2の排出量削減に大きな貢献をしているのが、新しい照明システムの採用だ。「コクヨでは、オフィスの照明に関してさまざまな研究を続けてきました。その結果、従来のようにフロア全体を700~1000ルクスにするような照明は、エネルギーの無駄遣いにつながるだけでなく、仕事面でも必ずしも効率が上がらないということがわかったのです」(齋藤氏)

このため、執務エリアも用途によって細かくゾーニングし、300、500、700ルクスと明るさに強弱を付けるようにした。
「照度を自由に変えられ、しかもエネルギー効率を高めるために、蛍光灯ではなく白色LEDによる照明システムを、エコライブオフィス用として開発しました。さらに人感センサーにより、ワーカーが不在の場所は自動的に200ルクスまで照度を落とすようにして、省エネ効果をアップさせています」(一色氏)

300ルクスというと、かなり暗いと思いがちだが、実際にその空間で作業をしてみると、会議はもちろん、ノートをとるにも充分な明るさである。
「暗いという印象を受けるといけないので、ところどころに電球色の蛍光灯を配して赤めの色の光を加えたほか、デスクでは必要に応じてタスクライトを併用できるようにしました。しかし運用を始めてみると、暗すぎるという声はほとんどありませんでした」(一色氏)

照明におけるもう一つの試みは、同志社大学の三木光範教授と共同研究中の「知的照明システム」を導入し、実用化実験を行っていることだ。「知的照明システムとは人工知能によって照度や色温度を調整し、個人の好みや作業内容に合わせた最適な空間の実現と省エネを同時に可能にします。まだ実験の段階ですが、明るさや光の色が変わると作業や思考に影響があるのは明らかで、ここで得られたデータは、さらに実用的な開発に役立てていくつもりです」(齋藤氏)

※知的照明システムは『オフィスマーケット』2007年9月号でも紹介しています。

オフィスの中央に「公園」をつくり紙コップなしでもOKの自販機を開発

その他、エコライブオフィス品川の新しい試みとしては、次のようなポイントが注目されている。

  • シンボルツリー

    執務エリア「オフィス」のほぼ中央に位置する4500mm×4000mmのトップライト(天窓)の下に木を植えて公園をイメージする空間にした。そこでは、季節ごとにアイデアを展示するイベントなどを行うほか、周囲をベンチにして座れるようにしたため、移動式のマルチタスクテーブルを移動させて仕事をすることができる。
    なお、トップライトには自動開閉機能付きのサッシが付けられており、屋内とガーデンの境界に設けられたセンサーと連動しながら、外光の採り入れや外気の取り込みを行い、オフィス内の照明や空調設備の無駄な稼動を抑えるようになっている。
    「やはり緑があり、外光の入るところに人は集まろうとするのか、オフィスでは最も人気のあるコーナーになっていますね。自然風で緑がそよぐので、室内にいても天候や季節を肌で感じることができます。」(齋藤氏)

  • シェアードプロジェクトルーム

    限りあるプロジェクトルームを複数のプロジェクトでシェアしながら効果的に活用できるように、簡単に可動できるテーブル、スクリーン、ワゴンを新たに開発した。
    「プロジェクトチームの構成も流動的に変わっていく時代だけに、ツールも柔軟性のあるものにしていくべきだと思いました。中でもプロジェクトウォールやワゴンは、必要な資料をひとまとめにしておけるため、この周辺に集まるだけで、いつでもすぐに会議が始められます」(一色氏)

  • マイカップ式自動販売機

    社員は自分のカップで飲みものが買えるように、マイカップと紙コップのどちらも使用できる自動販売機を導入。これにより紙コップの使用量が大幅に減り、この効果もCO2排出量の低減分に換算できる。
    「社員が自らの行動でエコを意識する。意識改革には有効なアイデアではないでしょうか。今後はこういう自販機が増え、デザイン的にも優れたものが登場してくることを望みますね」(齋藤氏)

  • 間伐材家具

    会議室の大テーブルや椅子、オフィス用のシェルフなどに、スギ、カラマツ、ヒノキの間伐材を使用したエコロジー家具を採用。通常なら端材としてしか使えない木材を有効活用している。
    「間伐材といっても節が多いだけで、材料としての強度などはまったく問題がありません。これからのオフィスは、こういう家具をもっと採用すべきでしょう」(一色氏)

CO2排出量を4割以上削減するだけでなくクリエイティブ環境を実現した適業適季

これらの新しい試みによって誕生したコクヨのエコライブオフィス品川は、CO2排出量の削減という本来の目標において、大きな成果をあげている。「従来型のオフィスに比べてCO2の排出量を約41.5%、量にして年間56トンの削減を目指しています」(一色氏)

その内訳は次のようになっている。

項目として大きいのは、省エネ型のLED照明と、ワーカーの在・不在を検知して風量をコントロールする新しい空調搬送システムの採用だが、「自然換気による効果は、今後、もっと大きくなるかもしれない」と期待している。「まだ運用を始めたばかりなので通年の効果はわかりませんが、冬の時期 でもガーデンの人気は予想以上に高く、もっと大胆に外気を採り入れていいような気がしています」(海老澤氏)

 自然との共生を「適業適季」というコンセプトで実現したエコライブオフィス品川は、まったく新しい思想のワークプレイスとして、多くの企業から注目を集めている。
「オープン以来、ほぼ毎日のように見学に来られるお客様があり、関心は高いようです。これまでのように環境対策だけに特化せず、『エコ+クリエイティブ』という思想を明確にしたことが、やはり企業の求める方向性と一致したのではないでしょうか。このため、私たちとしても、適業適季を効果的に事業に活かしていく方法を、今後も探ってくつもりです。日本にせっかく四季があるのなら、それを遠ざけようとせず、むしろ積極的に利用していく。これからのオフィスは、そういう発想で構築されていくべべきではないでしょうか」(一色氏)