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経済産業省 製造産業局日用品室

コミュニケーションの活性化はすべてのオフィスの課題 中央官庁で始まった「部門を超えた交流促進」への挑戦

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プロジェクト概要

  • 経済産業省
    内野 絵里香氏
    製造産業局日用品室
    室長補佐(企画担当)
  • 経済産業省
    小保方 勉氏
    製造産業局日用品室
    オフィス係長

経済産業省製造産業局では、日用品室が中心になってオフィスのリニューアルを進め、2009年1月には本館6階西側のレイアウトを一新した。官庁においても民間企業と同じように部門間のコミュニケーションの活性化や、働き方の多様化、情報セキュリティの強化は重要な課題になっており、「オフィス改革によるワークスタイルへの影響」を積極的に活用したいという考え方に基づくものだ。今回のプロジェクトでリニューアルの対象になったのは、繊維課、紙業生活文化用品課、伝統的工芸品産業室、デザイン・人間生活システム政策室を含む2課3室のオフィスだが、一つのモデルとして提示しつつ、これからもこのような動きをもっと広げていきたいとしている。

先進オフィス事例研究 はやわかりメモ
官公庁でもオフィスの生産性向上に高い関心
経済産業省では業務の生産性を向上させるため、省内で取り組み案の募集を行っていた。これまでクリエイティブ・オフィス推進運動などに携わり、民間企業のオフィス改革にも強い関心を持ってきた職員がいる製造産業局日用品室では大胆なレイアウト変更を提案し、承認される。
「明るいオフィス」はすべてのワーカーの希望
レイアウト変更に先立ち、書類の整理や電子化などを進めることでスペースの効率化を図る。その結果、ロッカーの上の山積みになっていたファイル類をなくすことができ、フロア全体が見通しの利く明るいオフィスに。職員の満足度は大幅に上昇した。
コミュニケーション用のスペースは捻出できる
書類の整理により書棚63本の処分に成功。そこで生まれたスペースにコミュニケーションコーナーを設けた。課や室を超えた交流が進むようにマグネット効果を生むアイテムなどを揃えている。
レイアウト変更には発想の転換も必要
デスク配列を一部「斜め」にした大胆なレイアウトを採用。従来、窓際にあった管理職席の場所を変え、会議卓などを配置。無駄なスペースを生じさせず、オフィスイメージの一新に成功した。今後は、このような「変化」から創造されるアイデアに期待。

コミュニケーションの促進、働き方の多様化 セキュリティの強化がオフィス改革の目的

官公庁のオフィスといえば、狭い机や山積みされた書類による旧態依然とした事務所のイメージが強いが、最近では少しずつ変わりつつある。その一つが、千代田区霞が関にある経済産業省本館6階の製造産業局日用品室だ。
「このフロアの西側部分には、日用品室と伝産室(伝統的工芸品産業室)が共有するスペースに加え、繊維課、紙業課(紙業生活文化用品課)、デザイン室(デザイン・人間生活システム政策室)がおります。3年前にもデスクやテーブルなどの入れ替えをしたのですが、今回、私たちが提案する形で、これら2課3室の大胆なレイアウト変更を行ったのです」(日用品室・小保方 勉氏)

目的は大きく3つあった。

第一は「コミュニケーションの活性化」だ。
「官庁では業界ごとに担当が分かれていますが、今は従来型の業界区分の枠を超えた融合ビジネスが盛んになってきているので、私たちの間でも頻繁な情報交換が重要になってきました。そのためにはオフィス全体を見通せるようにし、課や室を跨る交流の場を設けるべきだと考えたのです」(日用品室・内野 絵里香氏)

第二の目的は、働き方の多様化だ。
「個人による集中作業、会議などのコミュニケーション、リラックスなど、行動のパターンに合わせた場を用意することで、メリハリの利いた働き方を実現しようと考えました」(内野氏)

そして第三の目的が、情報セキュリティの強化だ。
「これまでのオフィスは書類に溢れ、しかも、頻繁に人事異動があるせいか、誰が管理しているかもわからない書類もありました。これでは仕事の効率が落ちるどころか、情報漏洩の危険性も増してしまいます。したがって、リニューアルを機会に不要なものを一気に廃棄するだけでなく、必要に応じて電子化していく計画を立てたのです」(小保方氏)

経産省全体で進められている生産性の向上 クリエイティブ・オフィスが切り札になる

今回のオフィスリニューアルは、経済産業省が全省で進めている生産性向上プランの一環でもある。
「2008年5月、省内に『仕事の生産性向上ワーキンググループ』が発足し、そこから各部局に対して、取り組み案の募集が行われました。そこで私たちは、クリエイティブ・オフィスの考え方をベースにしたレイアウト変更を提案したのです」(内野氏)

もともと内野氏と小保方氏は、経済産業省と社団法人ニューオフィス推進協議会(NOPA)が連携して進めてきたクリエイティブ・オフィス推進運動に関わりがあり、知識創造時代にふさわしいワークプレイスの必要性を訴え続けてきた。それだけに、自分たちのオフィスも機会があれば変えていきたいと考えていたのだ。

そして2008年8月にプレゼンテーションの内容が採用され、予算が降りたことで一気に作業が加速した。事前の環境満足度調査、局内関係課との調整、購入する什器の決定などを経て、2009年1月にレイアウト変更と引っ越しを行っている。
「官庁の場合、備品の使用期間は耐用年数に応じて厳格に決められているため、その時期がこなければ廃棄も交換もできないなど、オフィスのリニューアルには厳しい条件が多くあります。もちろん、今回もそのルールは守っていますが、それでも、全省で進める生産性向上計画の一部に認められたおかげで、かなり思い切った改革が出来ました」(内野氏)

「斜め」配列のデスクレイアウトでもスペースの無駄はほとんど生じない

それでは、リニューアルされたオフィスについて見ていこう。

まず「変化」を強く印象づけるのが、斜めに配置されたデスクだ。
「日用品室と伝産室は執務スペースを共有しており、室長席も2つ、島も2つだったため、思い切って動的なイメージのある配置にしました。隅に内部用の会議卓を設けたことで、スペースの無駄は生じません」(小保方氏)

さらに周囲を囲っていた「ロッカー+積まれたドッジファイルによる壁」をなくして見通せるようにしたことにより、明るい印象を与えるのに成功している。
「斜めのデスクレイアウトは画期的だったのか、訪ねてきた他部局の職員やお客様はみなさん驚きますね。開放的な空間になり、評判はかなりいいようです」(内野氏)

なお、従来のレイアウトでは室長席や課長席は窓を背にした奥側に置かれるのが普通だったが、あえて1席を通路側に移動させた点も、新しい試みだった。