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株式会社オプト

急成長を続ける「元気な会社」だから構築できた自由な交流と情報交換を促す新スタイルオフィス

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プロジェクト概要

  • 株式会社オプト
    山縣 泰彦氏
    執行役員
  • ゲンスラー アンド アソシエイツ インターナショナル リミテッド
    岩田 雅弘氏
    シニア アソシエイト スタジオディレクター
  • ゲンスラー アンド アソシエイツ インターナショナル リミテッド
    天野 大地氏
    シニア アソシエイト デザインディレクター
  • ゲンスラー アンド アソシエイツ インターナショナル リミテッド
    黒川 梨江氏

インターネット専業の広告代理店として日本でトップレベルの実績を誇る株式会社オプトは、2009年4月、大手町から神保町(千代田区神田錦町)への移転を行った。新しい本社となるのは地下鉄神保町駅近くにある一ツ橋SIビルの地下1階~地上4階の5フロア(約1300坪)。グループ会社を含めた約700人の従業員が入居している。

今回のプロジェクトは、わずか4カ月という短い準備期間しかなかったうえ、限られた予算の中で「急成長する若い企業」に相応しいオフィス環境を実現するという課題があった。このため、外資系や大手企業などで数多くの実績があるゲンスラー アンド アソシエイツ インターナショナル リミテッドにコンセプトづくりからデザイン、プロジェクトマネジメント、工事監修まで一貫した設計・施工プロジェクト形式での委託。機能美を追究した理想的なワークプレイスを完成させている。

先進オフィス事例研究 はやわかりメモ
オフィス探しの第一条件は立地
インターネット広告の代理業はクライアントや外部スタッフなど社外との交流がビジネスの基本。このため大手町や丸の内を中心とした都心のビジネスエリアに近いことが絶対条件だった。
移転を機会に社内文化を強化
急成長して大きくなった組織に再度活力を入れて、オプト文化の原点に戻ることも移転の目的。よって、今回の移転をいい機会として大幅な組織変更も同時に行った。
神保町という「穴場」
大手町にも近い神保町は、竹橋駅も含めると東京メトロの半蔵門線と東西線、都営新宿線と3本の地下鉄を使える便利な立地。若い社員が多い会社にとっては周囲に利用しやすい飲食店が多くて便利なほか、大手町に比べて借り増しもしやすく、拡張ニーズにもフレキシブルに対応しやすい。
ワンフロアオフィスは絶対ではない
ワンフロアに集約したフラットオフィスは社内コミュニケーションの活性化に効果的だ。しかし1000坪クラスになると横の移動にも限界が生じる。上下のフロアに分かれていてもその間の移動を促進できれば、ワンフロア300~500坪程度のオフィスでも充分。ただし、これは組織の性格にもよるので会社ごとにニーズは異なる。
ビルのイメージも重要なポイント
本社オフィスを置くならビルから受ける印象は非常に重要。特に来客の多い会社では、開放感のあるエントランスを持つビルを探すべき。
オフィスの美しさとは機能美である
オフィスのデザインを考えていくと、機能をどうやって形にしていくかということになる。そして求める機能は組織ごとに異なるので、会社によって美しいデザインも変わってくる。オプトの場合は若くて元気のいい社員が中心になった組織であるため、使い方を限定しないようなシンプルなオフィスデザインを採用。
フレキシブルだからアドレスを明確に
成長企業では組織の変動に対応できるフレキシブルなオフィスをつくる必要があるが、その分、場所ごとの性格付けを明確にしておかないと最初のデザインコンセプトが崩れてしまう。「ここはこのためのスペース」と目に付くアイテムの採用や、天井を利用した表示などが効果的。
オフィスに対して「横」のデスク配置
オフィスフロアの長辺に対し「縦」ではなく「横」にデスクを配列していくと、窓の位置による優劣が無くなるので着席の自由度が高くなる。また、島をずらしてレイアウトすることで変化に富んだ斜めの通路を実現できる。

「会社の顔」となる本社オフィスだからこそビルの持つイメージは重要なポイントになる

  • 1994年:有限会社デカレッグスを設立し、FAXおよびテレマーケティング業を手がける。
  • 1995年:株式会社オプトに社名変更。
  • 1997年:eマーケティング事業に進出。
  • 2000年:インターネット広告代理事業に本格進出。
  • 2004年:ジャスダック上場。
  • 2005年:株式会社電通とeマーケティング分野全般における業務提携。
  • 2007年:株式会社電通と資本・業務提携を強化。
  • 2008年:インターネット広告代理で市場シェアNo.1になる。キャンペーン企画およびデータ分析の専門部署を設置。

株式会社オプトは拡大するインターネット広告市場において最も成功している企業の一つだ。沿革を見てわかるように、わずかな期間に事業も組織も急激な成長を遂げている。

急成長した組織に再度活力を入れて、オプト文化の原点に戻ることも必要だと思っていたので、オフィスの拡張移転は常に検討の対象になっていたという。
「今年4月までの3年間、大手町にあるビルに本社オフィスを置いていました。入居したときにはその後の従業員数の増加も計算に入れて1000坪ほどのスペースを確保したのですが、実際にはすぐに手狭になってしまったのです」

こう語るのは、今回のオフィスリニューアルプロジェクトで全体指揮を執った執行役員の山縣泰彦氏だ。
「旧入居ビルは1958年竣工のため、空調などインフラ面で少し不満を感じたものの、日本を代表するビジネスエリアにあってワンフロアで広い面積を借りられる貴重なビルでした。しかし、内部はもちろん、周辺のビルを調べても簡単に増床できるスペースはなく、フレキシビリティには欠けます。そんなことから、契約期間が終わるのを機会に、新しいオフィスへの移転を考え始めたのです」(山縣氏)

そして2008年の春ごろから本格的に物件探しを始めたのだが、そのときこだわったのは立地だった。
「ネット広告代理事業、テクノロジー事業、ソリューション事業、コンテンツ事業と、私たちの手掛けるビジネスはすべて、お客様の要望を伺ってから形にしていくものになります。したがって、多くの企業と交流するのに便利な場所、具体的にいえば大手町や丸の内に近いことが絶対的な条件だったのです」(山縣氏)

そんな思いもあり、新オフィスを探し始めた当初、山縣氏は毎日のようにこのエリアを歩き回っていたという。
「会社の顔になる新本社オフィスですから、資料だけで判断せず、必ず、自分の目で確かめようと、昼休みを利用して候補となるビルをすべて訪ねて回ったのです」(山縣氏)

最初は大手町を中心に、やがて同心円上に範囲を広げながらチェックを続けていくが、なかなかイメージに合ったビルは見つからない。
「総面積として1300坪以上は必要でした。しかし大手町や丸の内では1棟のビルでそれだけのスペースを確保するのは難しく、半分あきらめかけていたころ、神保町でこのビルに出会ったのです」(山縣氏)

それが一ツ橋SIビルだった。
「地下鉄の神保町駅の出口から徒歩1分、竹橋駅からも約5分という好立地はどこに行くにも便利で、求める条件は充分に満足できるものでした。ただそれ以上に、このビルを初めて目にしたときの印象が、移転を決意させたのです」(山縣氏)

その印象とは、「入りやすいビルだな」というものだ。
「毎日毎日、多くの建物を見ていると、ひと目でいいビルかどうかわかるようになってきます。このビルは道路で囲まれた敷地に建ち、しかもエントランスがガラス張りであるため、外からも見通せて開放的なイメージがするのですね。私たちの会社はお客様や協力会社のスタッフなど多くの人が出入りしますので、『入りやすさ』はそのまま経営上のメリットにつながります」(山縣氏)

ちなみに、一ツ橋SIビルの竣工は1979年(昭和54年)と決して新しいビルとはいえないが、定期的にリニューアル工事を続けてきたのか、年数はまったく感じられない。
「もともと自社ビルとして設計され、使われてきたためか、空調や電源などのインフラも時代に合ったものになっていましたし、全体に使い勝手が良さそうなビルだと思いましたね。それだけに、すぐに『ここしかない』と、移転計画を具体的に進め始めたのです」(山縣氏)

広すぎる「ワンフロア」オフィスよりも効率的に上下に重ねるほうが使いやすい

移転先を探すにあたり、山縣氏がもう一つ気にしていた条件がある。
「それはフロア面積でした。社内コミュニケーションの活性化を考えたとき、横に広いオフィスほど良いとよくいわれます。今までのビルでそういうフラットなスペースに入居していただけに、次もワンフロア面積が広いビルにしようと考えていました」(山縣氏)

しかし、立地と広いフロア面積の両方の条件を満たすビルがタイミング良く空くことはなく、悩んでいたときに神保町の物件を見つけ、考えが変わっていく。
「今回の移転を機会に大幅な組織変更も行いました。そこで、ワンフロア約300坪のこのビルで移転のシミュレーションをしてみると、各階に一つの部門がすっぽり入り、都合がよかったのです。フラットオフィスが良いといっても、1000坪クラスになってしまうと横の移動が大変になり、交流上のメリットはあまりないと考えました。それより機能的に上下に重なっているほうが、人の行き来はしやすくなるのではないでしょうか」(山縣氏)

ただし、これには注釈が必要かもしれない。

株式会社オプトの場合、「主力となっているのは20代の社員であり、中間層が少なく、その上はいきなり私たち40、50代なのです」と山縣氏が笑うほどに若いメンバーが多い。このため社内は活気に満ち溢れており、今回の取材・撮影中にも、元気な若者たちが階段を駆けて抜けて他のフロアに移動するシーンが頻繁に見られた。
「組織のスタイルによって『良いオフィス』は違ってくると思います。オプトの場合は営業と企画のスタッフが常に情報や意見を交換しながら仕事を進めるスタイルが定着しているので、たとえフロアが分かれていても交流が阻害されることはありませんでした」(山縣氏)

また、あとで紹介するように、オプトの新オフィスではスタッフたちが自然に上下階を移動するようにフロア構成に様々な工夫をしている。
「縦の移動が問題なくできるのであれば、ワンフロア300~500坪くらいのオフィスが一番使いやすく、また借りやすいかもしれません。つまり、自分の会社にとって何がベストかという視線でオフィス探しをすることが重要なのです」(山縣氏)


部門内で自由に着席できるセミフリーアドレスを採用した執務室。