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- ポスト京都議定書など、最近の地球環境保全の動き
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1997年に京都で開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)では、同年に京都議定書が議決され、2005年に同議定書が発効している。現在は、2008年から2012年までの第一約束期間に当たる。この第一約束期間では、先進国全体の温室効果ガスの合計排出量を1990年比で5%以上削減する全体的目標値(日本の目標値は、6%の削減)が設定されている。
「ポスト京都議定書」とは、先の京都議定書の第一約束期間が終わって後の、新たな「枠組み」のことであり、あるいは各国で現在行われているそれをどうするかという議論もさす。2008年10月現在で、まだ確定したものはない状況である。
「ポスト京都議定書」を含めて、最近の地球環境保全をめぐる動きは、大きく様変わりしつつある。国のレベルでは、2008年に「京都議定書目標達成計画」(2005年策定)が改訂され、具体的な対策と施策が定められた。主な項目だけでも約20項目があるが、オフィスビルと関連する部分では以下のようなものがある。- 低炭素型の都市/地域デザイン
- 建物の省エネ性能向上
- 冷暖房の温度の適正化
- テレワーク等情報通信技術を活用した交通代替の促進
- 緑化等ヒートアイランド対策
また、2007年に「環境配慮契約法」が施行され、国や独立行政法人等が価格に加えて温室効果ガスの排出を考慮するようになった。
オフィスビル等について大きな影響を与えるのは、「省エネルギー法」の改正である。これについては、別項で説明している。
地方自治体レベルでは、2008年に「東京都環境確保条例」の改正が可決された。オフィスビルに大きな影響を持つが、これについても別項で説明する。 - 省エネルギー法の改正(2008年)
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2008年5月に公布され、2009年4月1日より施行される。まだ施行令、施行細則が発表されていないので、実務レベルでは確認が必要であるが、改正の概要は以下の2点である。
- 事業者(企業)単位のエネルギー管理義務導入
従来は、原油換算のエネルギー使用量が1,500kl/年以上の工場・店舗・オフィスビル等が対象であった。これを改正して、施設(建物)単位から事業者(企業)単位とした。つまり、複数の建物を保有・使用する事業者の場合、合計のエネルギー使用量が1,500kl/年以上になると、規制を受けることになる。この事業者は、フランチャイズチェーンについても一事業者と捉えることになっている。これにともない、従来の建物単位のエネルギー管理者・管理員に加えて、事業者全体を担当範囲とするエネルギー管理統括者、エネルギー管理推進者を置かなければならない。
経済産業省では、この改正によって、従来は全体の10%程度が規制対象だったスーパー、ホテル、オフィスビルなどの業務部門で、50%程度まで規制対象が拡大されると推定している。 - 建築物の省エネルギー対策強化
2,000m²以上の住宅・建築物を建築しようとする者は省エネルギーに関する届出が義務づけられていたが、それに対する規制が強化された。従来は、担保措置として「指示」、「公表」だけだったが、これらに加えて「命令」が導入された。さらに、届出義務対象が拡大され、一定の中小規模の住宅・建築物に拡大された。また、住宅を建築し販売する事業者に対して、住宅の省エネルギー性能向上を促す措置を導入した。これについては多数の住宅を建築・販売する事業者に勧告、命令等による担保が行われる。さらに、住宅・建築物の省エネルギー性能の表示等を推進することになっている。
- 事業者(企業)単位のエネルギー管理義務導入
- 東京都環境確保条例の改正(2008年)
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東京都の「環境確保条例」(都民の健康と安全を確保する環境に関する条例)は2008年に改正された。その主要な点は、「地球温暖化対策計画書制度」として知られ、2002年度から開始されているものの改正である。新しい「計画書制度」の施行は2010年度からになる。こちらの方も細則にあたる規則は2008年度末の制定が予定されているので、公表後に規則の確認が必要である。なお、対象となる事業所は、現行の「計画書制度」対象を基本としており、原油換算で1,500kl/年以上のエネルギー使用量の事業所である。改正の概要は、以下の点である。
- 総量削減の義務化
温室効果ガスの削減については、2002年度から2009年度までは自主的取組の推進であったが、2010年度以降はこれが義務化される。基準排出量の測定方法や削減義務率など、規則はこれから策定されるが、燃料・熱・電気等の使用にともなって排出される温室効果ガスの削減義務がある。また、排出量の報告に際しては、知事の登録を受けた検証機関の検証を受けなければならない。
先に述べた国の「省エネルギー法」では、「エネルギー管理義務」にとどまっている規制を一歩進めて、「削減義務」にまで強化している。 - 排出量取引制度の導入
削減義務の履行手段として、基本は自ら削減することが明記されているが、補完するものとして排出量取引制度が導入される。自らの排出量が削減義務目標に達しない場合には、排出量取引により他者の削減量を取得することができる。
また、東京都の「環境確保条例」改正では、「計画書制度」以外のものもある。その一つが中小規模事業所への「地球温暖化対策推進制度」の創設である。こちらは任意の提出制度だが、すべての中小事業所が取り組める地球温暖化対策報告書の制度を創設した。また、一定量以上のエネルギー使用量となる同一法人については、複数の事業所についての地球温暖化対策報告書の取りまとめによる提出が義務づけられる。
- 総量削減の義務化
- カーボン・オフセット
- 企業が自らの事業で排出する温室効果ガスの削減目標の達成やCSR(企業の社会的責任)を果たすために、他の場所で実現した温室効果ガスの排出量削減や吸収量等で相殺すること。環境省では、2008年に「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」を発表している。日本では、まだ検討の途上にあるが、EU諸国、米国、豪州などで実施例がある。
カーボン・オフセットの方法として、植林による温室効果ガス吸収量を確保して相殺する、あるいはグリーン電力証書(風力・太陽光など自然エネルギーで発電された環境付加価値を証書として取引する)を購入するなど、様々なものが検討されている。一方で、自らの本業で排出量削減の努力をせずに、他の場所での努力で相殺していたのでは、全体の排出量は削減されないという指摘もある。 - LEED(リード)
- 非営利団体の合衆国グリーンビルディング審議会(U.S. Green Building Council)が推進している建物の環境効率レイティング制度のこと。LEEDとは、Leadership in Energy and Environmental Designの頭文字に由来する。
建物の環境対応性をさまざまな視点から評価し点数を与える制度だが、法律ではなく、民間主導のコンセンサスが基本となっている点が特徴の一つである。とはいえ、米国では2007年10月時点で2,000件以上の登録(新築・改修・増築が対象のLEED-NCのプロジェクト件数)があるように、米国を本拠とするグローバル企業、連邦政府・州などの公共施設にも普及している。また主要都市での一定規模以上の建物にはLEED認定を義務づけしている例もある。
もう一つの特徴は、建物の運用状況も評価対象にしている点で、既存建物の運用やメンテナンスを評価する仕組み(LEED-EBOM)がある。
LEEDは、建物の種類や状況に応じて評価カテゴリーが細かく分かれている。先述したように法律ではないので、新しいアイデアを取り入れたバージョンが試され、検討され、更新されている。
ある点数以上を獲得すれば認定証を得られるが、それには必ず要求事項を満たしていなければならない仕組みになっており、一定の品質を確保していない建物には認証を与えない点も特徴である。点数によって、「LEED認定」から「LEEDプラチナ」まで、四つの総合評価段階が設定されている。
この評価のために、LEED AP(Accredited Professional)という有資格者が評価に加わる仕組みがあり、LEED AP有資格者はすでに5万人以上にのぼるという。日本など海外でも、2008年からLEED AP試験を実施するようになった。LEEDについては、弊社発行の「オフィスマーケット」2008年Ⅳ号34~37ページに、より詳細な記事を掲載しているので参照願いたい。 - CASBEE(キャスビー)
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Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiencyの頭文字をとったもので、日本における「建築物の総合環境性能評価システム」のこと。先の項で述べたLEEDと同じく、建物の環境性能を表示するものである。国土交通省の支援のもとに産官学が共同して開発した。2002年に新築向け評価マニュアルが発表され、以降、戸建系、既存建物系、改修建物系、まちづくり系など多様な建物と建物群を対象とする評価マニュアルが整備され、「CASBEEファミリー」と呼ばれている。 評価の考え方は、
- 建物の環境品質(Q)の評価項目(室内環境・サービス性能・室外環境)
- 建物外部環境負荷 (L)の評価項目(エネルギー・資源マテリアル・敷地外環境)
の二つの軸からなる。Qの環境品質は高ければよく、Lの外部環境負荷は低ければよいと評価する建物環境効率(BEE)が算定される。Sクラスを頂点とする5段階でクラス分けにして評価される。現在、いくつかの地方自治体では、大規模建築の建築確認申請時にCASBEE評価を義務づけ、その結果を公表して、申請者の希望があれば認証書を交付している。










